7針 ページ8
虎は私目掛けて飛び掛ってくる。
それを避けると虎は壁にぶつかりそうなところで身を翻す。
コンクリートが抉れた………おっかないなぁ……
私に攻撃が当たらなかったことが癪に障ったようで虎は何度も突進を繰り返す。
舐めるなよ、この程度のことで冷静でいられなくなるようならこの街では暮らせない。
「Aー、異能力使わないと死んじゃうよ〜」
虎の攻撃を避けてる私に対し治くんは我関せずといったように無駄な助言をしてくる。
傍観者は楽でいいな!!
『体術が効かないのなんてわかってるし、兜割じゃ虎に届かない。
異能力は使ってもいいけど、殺しちゃうかもよ?』
私の異能力は調節が難しい。
うっかり殺してしまった、なんてことは許されないだろう。
「うーーーん、それは困るなぁ」
『でしょ?
だから……………っっ!』
私は向きを変えて大きく後ろに跳躍する。
私が着地した場所は治くんの後ろに積み重ねてある木箱の上。
『私じゃ敵わないので治くんお願いしますね』
嫌味ったらしく笑顔で云ってあげた。
私が治くんの後ろに下がったことから虎は標的を治くんに変えたようだ。
「全く、困ったねぇ」
云った瞬間、虎が上から治くんに襲いかかる。
そのままほかの木箱を壊していく。
私は木箱の上で座りながらその光景を眺めた。
治くんはしゃがんで避けながら悠長に云う。
「改めて近くで見るとこりゃ凄い力だ
人の首くらい簡単に圧し折れる」
その後しばらく避けていた治くんだが、遂に壁際まで追い詰められてしまった。
虎は真正面から治くんに飛び掛かる。
普通ならここで治くんは虎に襲われて死ぬだろう。
でも普通じゃないのが異能力者達だ。
「獣に喰い殺される最期というのも中々悪くは無いが」
治くんは手を前に出す。
「君では私を殺せない」
治くんの手が虎の額に触れた途端、虎の姿は残像のように消えていく。
「私の能力は−
あらゆる他の能力を触れただけで無効化する」
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時