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47針 ページ48

なに、これっ!?


遂に私はその場に倒れ込む。


『なか、はらく、ん?』


辛うじて目線を動かすと砂埃やかすり傷のついている中原くんが顔を歪めながら私を見下ろしていた。


「重力操作」


中原くんの言った言葉で私はハッとする。


中原くんの異能力は触れたものの重力のベクトルと強さを操ることが出来る、と聞いたことがある。


ただ私と同じで強力な異能力な故にまだ使いこなせていなく今も無意識にやっているようだ。


「中也!!止めぬか!」


そう言って中原くんを止めようとした紅葉姐さんを先生が手で制す。


「草田男!何をしておる!
このままだとAが危険じゃ!」


先生はそれでも何も言わずただじっと黙っている。



体にかかる重圧が少しずつ大きくなっていく。
骨が軋み、呼吸もしずらくなってきた。


『うっ……』


私は先生に目線を向ける。


「A、手助けは必要か?」


先生はゆっくりと言った。



『いい、え。』


私はそれに応える。

先生はふっと息を吐きやってみろ、と言った。



目線を中原くんに戻す。


まだ意識は戻ってきてないようで息を荒くしながらこちらを見ている。



このままだと中原くんも危ないな…。


なんとか意識を戻さなきゃ。


私はできる限り手のひらを中原くんに向けようとする。

私が動いたことに気づき中原くんは更に私に重圧をかける。

さっき以上に体が重くなり指1本動かせなくなりそうだ。


それでも、先生が「やってみろ」と言ったのだ。
ならばやるしかない!


私は歯を食いしばり精一杯の力を込めて手のひらを中原くんに向ける。


目が霞んできた、肺が圧迫され酸素が取り込めない。頭がクラクラしてくる。


それでもなんとか意識を持って、


『異能力【天空の蜂】』


その言葉と共に針が中原くんに向かって飛び出していく。

1つ目の針は中原くんのギリギリ横をかすり後ろの壁に突き刺さる。


もう1本!


そう念じると今度は中原くんの頭目掛けてまっすぐ飛んでいく。


よし!と思ったのも束の間で中原くんに針が刺さる1mほど手前で私にかかっていた重圧が無くなった。


中原くんを見ると意識が戻っていた。


まずい!!そう思って針を止めようとしたが針はもう中原くんの目の前に迫っている。



止まって!!


中原くんに刺さりそうになった時、銃声が2つ響いた。



中原くんの目の前にあった針は粉々に砕け床にカシャンと音を立てて散らばった。

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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時

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