44針 ページ45
ポートマフィアのビル、普段は静かな地下で激しく動く2つの影。
それはまさに草田男とAが組み合っているところだった。
Aは草田男に飛び蹴りをいれるがそれを分かっていたように草田男はAの足を手で止める。
バランスを崩したAは床に手をついて着地しそのまま体を半回転させた勢いで草田男に裏拳をぶつける。
しかしこれも腕で止められ、草田男はしゃがみAの足を思いっきりはらう。
『わっ!!うっ!!』
足をはらわれたAは空中に浮き、そのまま背中から床に落ちる。
落ちたAの顔の横に草田男は思いっきり足を下ろす。
『こ、降参です。』
Aは床に倒れたまま両手を上げて言った。
「惜しかったな、でも反応の速度は良くなってる。
あとは敵の次の動きを予想して、止まることなく攻撃をし続けるように出来たら完璧だ。」
草田男はAに手を差し出して、体を起こさせる。
『ケホッ…はい。』
背中から床に落ちたせいで肺に衝撃を受けたAは咳き込みながら体についた砂埃をはらう。
「よし、じゃあ次は兜割りの練習をするぞ。」
『はい!』
草田男はナイフを構え、Aは腰のベルトから兜割りを引き抜きお互い構える。
と、そこで人の入る気配を2人は感じとり、直ぐにその方向に体を向ける。
「さすがじゃのう、草田男。それにAも。
なるべく気づかれないように入ったつもりじゃったが。」
階段から降りてきたのは草田男の同僚で幹部の紅葉だった。
「なんだ、紅葉か。そんな殺気出してたら分かるに決まってんだろ。
で、なんの用事だ?」
草田男はナイフをしまい、Aもそれを見て兜割りを鞘に収める。
紅葉は階段を下まで降りると後ろにいた中原を引っ張り
「草田男、中也にも体術を教えてやってくれんかのう?」
と言った。
「えー、なんで俺?」
草田男は少しめんどくさそうに頭を掻きながら紅葉の方に歩いていく。
「なに、この子も異能力だけでは危ないからのう。
それにお前のことを話してやったら、〈ポートマフィア最強の男〉に体術を教わりたくなったらしい。」
『〈ポートマフィア最強の男〉…?』
Aには初めて聞く単語だった。
『先生がそうなんですか?』
Aは草田男に聞いてみたが、草田男はその言葉を聞いて少し不満そうな顔をして余計めんどくさそうに息を吐いた。
「俺、そう言われるの嫌いなんだよなぁ……。」
草田男はボソリと言う。
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時