39針 ページ40
地下はやっぱりジメジメしている。
地下について、さっき私がいた場所とは別の広い場所に来た。
壁や床は石のタイルが剥き出しで、明かりも少なく薄暗い。
そこで私と先生は3mくらい離れて向かい合っている。
『あの、先生?』
先生はじっと私を見据えている。
どうすればいいんだろう……。
考え込んでいると「A」と呼ばれた。
「俺はお前に体術とかナイフ、銃とか武器の使い方、異能力の使い方を教えていくつもりだ。
でもその前この世界にいるうえで慣れてもらわなきゃならないものがある。」
『はい、なんでしょう?』
先生はゆっくりと息を吸い込んで吐き出す。
そして、
「怖がらせたら、ごめんな。」
そう言った。
『え、どういう』
どういう意味ですか?
そう聞こうとしたのに言葉が続かない。
声が、出せない。
空気が冷える。
実際にはそんなことはないけど、私にはそう感じる。
無意識に体が震え出す。
呼吸が浅くなる。
先生から冷たい空気が溢れ出てくる。
先生の目に温度はなくただ、私を殺そうとしている。
冷気は私を包み、喉元に刃物を当てられている感覚に陥る。
こわい、怖い、恐い、殺される。
逃げなきゃ、あの人から、はやく!!
頭ではそう思っているのに震えている足は一向に動かない。
ああ、死ぬのか。
そう思ったとき、フッと空気が軽くなる。
「ごめん、やりすぎたな。」
私はその場に座り込む。
呼吸が浅かったせいで軽く息切れを起こした。
額から冷や汗が流れて、地面にポタリと落ちる。
先生は私のすぐそばでしゃがみこみ背中をさすってくれる。
「ごめんな、Aは殺気に慣れてないみたいだからちょっと試したんだけど……。」
『せ……せぃ。』
まだ上手く声が出せない。
「いいか、Aこれからこの殺気に慣れてもらわなきゃならない。
辛いと思うが、頼む、今だけでも我慢してくれ。」
『………は、い。』
先生は眉を下げて「ごめんな」とまた謝った。
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時