検索窓
今日:24 hit、昨日:15 hit、合計:128,636 hit

39針 ページ40

地下はやっぱりジメジメしている。




地下について、さっき私がいた場所とは別の広い場所に来た。


壁や床は石のタイルが剥き出しで、明かりも少なく薄暗い。




そこで私と先生は3mくらい離れて向かい合っている。



『あの、先生?』



先生はじっと私を見据えている。

どうすればいいんだろう……。


考え込んでいると「A」と呼ばれた。



「俺はお前に体術とかナイフ、銃とか武器の使い方、異能力の使い方を教えていくつもりだ。



でもその前この世界にいるうえで慣れてもらわなきゃならないものがある。」




『はい、なんでしょう?』



先生はゆっくりと息を吸い込んで吐き出す。





そして、

「怖がらせたら、ごめんな。」


そう言った。






『え、どういう』


どういう意味ですか?

そう聞こうとしたのに言葉が続かない。



声が、出せない。

空気が冷える。

実際にはそんなことはないけど、私にはそう感じる。

無意識に体が震え出す。

呼吸が浅くなる。





先生から冷たい空気が溢れ出てくる。

先生の目に温度はなくただ、私を殺そうとしている。

冷気は私を包み、喉元に刃物を当てられている感覚に陥る。





こわい、怖い、恐い、殺される。


逃げなきゃ、あの人から、はやく!!



頭ではそう思っているのに震えている足は一向に動かない。



ああ、死ぬのか。








そう思ったとき、フッと空気が軽くなる。



「ごめん、やりすぎたな。」


私はその場に座り込む。

呼吸が浅かったせいで軽く息切れを起こした。


額から冷や汗が流れて、地面にポタリと落ちる。




先生は私のすぐそばでしゃがみこみ背中をさすってくれる。


「ごめんな、Aは殺気に慣れてないみたいだからちょっと試したんだけど……。」



『せ……せぃ。』


まだ上手く声が出せない。


「いいか、Aこれからこの殺気に慣れてもらわなきゃならない。

辛いと思うが、頼む、今だけでも我慢してくれ。」


『………は、い。』


先生は眉を下げて「ごめんな」とまた謝った。

40針→←38針



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (55 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
123人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。