38針 ページ39
またエレベーターに乗って何階か上に上がる。
目的の階につき、エレベーターから降りて長い廊下を歩く。
こんなに沢山の部屋があってすごいなぁ。
先生は大きな扉の前で止まった。
「ついたぞ、ここは俺の同僚の部屋だ。
紅葉、草田男だ、入るぞ。」
コンコンとノックをして先生が中に入る。
部屋の中にいたのは綺麗な着物を着た女性だった。
「草田男、何の用じゃ?そなたがここに来るとは珍しいのぅ。」
女性は湯のみを片手に持ってこちらに体を向ける。
「ん?その子はなんじゃ?」
「今日お前の所に来たのはこいつを紹介するためだ。
こいつは東野A、首領が人売のところで買ってきて俺が面倒見ることになった。
困ってたら助けてやってくれ。」
『よ、よろしくお願いします。』
「ほう、あの人がのぅ……。
珍しいこともあるものじゃ。」
女性は口元を着物の袖で隠し、目を細める。
しかしすぐに笑顔になり
「わっちは尾崎紅葉じゃ、このポートマフィアで幹部を務めている。
何か困ったことがあったらわっちに言うといい。
今度、茶でも一緒に飲むかえ?」
『え、えと…、そのうち、お願い、します。』
紅葉さんは私の頭に手を置いて優しく撫でる。
「鴎外殿のところには行ったのか?」
「ん、今さっき行ってきた。
けど行くべきじゃなかったって後悔してる……。
あの人の守備範囲12だったよな……。」
「A、おぬし何歳じゃ?」
『え?えっと、10歳です。』
「「………。」」
「草田男、何かあった時はお前がちゃんと助けてやるのじゃぞ。」
「お、おう……。」
何の話をしているのかさっぱり分からない。
「ま、とりあえず俺らもう行くな。やること沢山あるし。」
「そうか、Aいつでも来てよいぞ。」
『はい、ありがとうございます!』
先生と私は紅葉さんの部屋を後にした。
「さてと、あちこち行って大変だと思うけど次は地下に行くぞ。」
『地下…?
地下に誰かいるんですか?』
「いや、さっき部屋で言った2つ目を早速やる。」
2つ目って……
『体づくり、ですか?』
「うん、1日でも早めにやることは悪くないからな。少しでも慣れてもらう。」
『はい、分かりました。』
そう言って私と先生はまたエレベータに乗り込む。
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時