37針 ページ38
男の人は片膝を床について私に目線を合わせる。
「こんにちは、可愛らしいお嬢さん。
私の名前は森鴎外だ。好きなように呼んでくれて構わないよ。
ポートマフィアの専属医だ。怪我をしたらすぐに私の所に来るといい、そしてあわよくばこのドレスを着てくれたりしないだッッ!!」
ゴンッッという音とともに男の人の頭に先生の拳が入った。
「A気をつけろ、この人に怪我を見せる時は必ずいつでも逃げられるようにしておけ。」
「ちょ、草田男君!痛いじゃないか!
それに安心したまえ、治療は真面目にやるよ。」
男の人は涙目で頭をさする。
『え、えと、よろしくお願いします…森さん。』
すると森さんの後ろからひょこっと、先程追いかけられていた女の子が顔を出す。
「こんにちは、A!私はエリスよ!よろしくね!!」
女の子は私の前にきて両手を握りながら名前を言ってくれた。
『よろしくお願いします、エリス、ちゃん?』
そう言うとエリスちゃんは嬉しそうに笑って両手をブンブン振る。
か、肩が痛い……。
不思議な子だ、目の前にいるのに人間じゃないみたい。
人形みたいな感じがする。
森さんは急に立ち上がって
「エリスちゃんはね、私の妻なのだよ。」
と言った。
鼻の下を伸ばしてにやけている。
「まだそんなこと言ってたんですか。
Aの教育に悪いんでやめて下さい。
いいかA、こういう幼女が好きな男のことをロリコンっていうんだ、覚えとけよ。」
ろりこん=森さん
『はい、分かりました。』
「草田男君!なんてことを言うんだい!?
Aちゃんも覚えなくていいんだよ!?」
森さんは落ち込んで泣き顔になっている。
「そんじゃ、俺らそろそろ行きますわ。
もう1人会わせたい人がいるんで。」
「おや、そうなのか。
またいつでも遊びに来てくれたまえ。」
「バイバーイ!」
『失礼しました。』
私と先生は部屋を出た。
「次に会う人はもっと常識人だから安心しろよ。」
先生は笑いながら言う。
『森さん、不思議な人ですね。
あんなに飄々としてるのに恐い感じがします。
エリスちゃんもどこか人間とは違う雰囲気でした。』
私がそう言うと先生はすごく驚いた顔をした。
「Aはすげぇな、人を見る目がちゃんとあるな。
いや、それとも本能みたいなもんか?」
そういって先生は私の頭に手をのせた。
123人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時