36針 ページ37
A side
先生の後ろについていく。
エレベーターに乗って何階か下に降りていく。
このエレベーターというものには初めて乗ったからまだ慣れない。
乗っている時の変な感覚が気持ち悪いな。
さっき乗った時に座り込んだら先生に笑われちゃった……。
エレベーターが止まって先生が降りていく。
「今から会う人はポートマフィアのお医者さんなんだけどな、優しいけどちょっと変わってるっていうか、凄く変わった性癖を持っているというか……。」
先生は困ったように笑いながら言ってる。
『先生、せいへきって何ですか?』
「あ〜……、性格が少し変わってる人だって思ってくれればいいよ。」
変な人ってことかな?
ここだよ、といって先生はドアをノックする。
ドアには漢字で何か書いてある。なんとか、室?
私には読めないなぁ、今日だけで漢字の読めなさにショックを受けている……。
「おーい、森先生、草田男です。
入りますよー!」
先生はそういってドアノブを回して中に入る。
私もドアから中を覗き込む。
「げ……」
『え……?』
私と先生は同時に声を上げだ。
中では少し痩せ気味の男の人がドレス片手に金色の髪の女の子を追いかけていた。
「待ってよ、エリスちゃん!!
ちょっと着てくれるだけで良いんだよ〜!」
「いやよ!それ着たらリンタロウ写真撮るじゃない!!」
周りには色んな瓶の入っている棚とか、沢山ベッドが置いてある。
『先生、あれがせいへき、ですか?』
「うん…ちょっと違うけどまあいいや……。」
先生は引き攣った頬で笑っている。
「ん?あぁ!草田男君じゃないか!!」
女の子を追い回していた男の人はこちらに気がつくと陽気な声で先生の名前を呼んだ。
「どうも、森先生。相変わらずっすね……。」
やっと気づいて貰ったことにほっとしたのか先生は軽く息を吐いた。
「ん?その可愛らしい女の子はどうしたんだい?
はっ!!まさか草田男君!
ついに私と同じように幼い子供の魅力に気づいたのかい!?」
男の人は私に気づくと、急に真面目な目つきになって先生にそう言った。
「違いますよ、森先生と一緒にしないで下さい。」
先生は冷めた目でキッパリ言い切った。
「この子は東野Aっていって、首領が人売で引き取ってきた子ですよ。
俺が面倒見てます。一応森先生に会わせとこうと思ったんですけど………。」
先生は気まずそうに私の方をちらりと見た。
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時