35針 ページ36
「まず1つ目、字の読み書きを完璧にすること。
平仮名、カタカナ、漢字、あと多少英語もできるようにしておこう。」
『英語……ですか……。』
英語と聞いたAの顔は微かに暗くなったが草田男はそのまま続けた。
「この部屋と隣の書斎には俺の本が沢山ある。
ジャンルも作者もバラバラのな。
Aはとりあえず本をたくさん読むこと。
文字を読む練習にもなるし、人間の心情とか一般的な感覚を覚えること。恋愛小説とかミステリーとか沢山あるから。
そんで分からない言葉があったらすぐ書いて調べろ。」
『分かりました。』
「次に2つ目、体づくりをしてもらう。
今のAの体じゃ直ぐに死んじまうからな。
それに関してやる時にまた詳しく説明するけど、異能力ももっと使いこなせるように鍛えていくから。」
『が、頑張ります……。』
「うん、そんで最後に3つ目。
3つ目は俺の外に出る仕事になるべく着いてくること。」
『外に出る仕事?』
「うん、外の仕事。
具体的には敵対する組織との抗争及び殲滅とか、取引とか色々だけど。
Aはまだ外のことを全然知らないから、社会見学だとでも思ってくれればいい。
あとはスプラッタな場面にも慣れてもらったり、力がついてきたら実践してみたり、かな。」
『すぷらったって何ですか?』
「要は人の死ぬ現場に行くってことだ。」
『……。』
Aはヒュッと息を飲み込んだ。
「こればっかりはこっちの世界に身を置く上で我慢してもらうしかない。」
『………はい。』
Aは下を向いて手を固く握る。
「ごめんな……。」
草田男が謝るとAはパッと顔を上げて
『いえ、先生のせいじゃないです。
早く慣れるように頑張ります。』
Aは真っ直ぐ草田男を見つめて言った。
「そっか、ありがとな。
あぁ、そうだ。Aに会わせたい人がいるんだ。
ちょっと着いてきてくれ。」
そういって草田男は立ち上がりドアに向かった。
Aも立ち上がりその後をついていく。
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時