26針 ページ27
「この商品の異能力は目で見た方向に手を向けると針のような物を出します。
相手を突き刺したり武器を弾いたりすることも出来ます。
目と手を使うので今は目隠しをして手も縛っています。
異能力を使わせる時は注意してください。」
男は私のことをどん、と押して前に出させる。
目の前に２人の人間の気配がする。
「それでは代金を頂戴致しても宜しいでしょうか？」
「嗚呼、そうだったな。草田男。」
「はいはーい。」
もう1人の人の声がした瞬間、
パンッ
「な、何を……？」
私の正面から銃声と後ろで人が倒れる音がした。
何が起こったのか理解出来なかった。
そしてすぐにドアの開く音がした。
「首領、上の制圧が完了しました！」
ドタドタとたくさんの人が入ってくる音が聞こえる。
「撤収するぞ、後片付けもしておけ。
草田男、その子供はお前に任せる。」
「了解しました、首領。」
私の隣を老人が通り過ぎていく気配がした。
何者かによって後ろで結ばれていた手が解かれる。
そのまま目隠しも外された。
久しぶりの光が眩しくて目が慣れない。
光に慣れて最初に目に入ったのは短髪で焦げ茶色の20代くらいの男だった。
男は何故か私をみて笑っていた。
部屋をぐるりと1周見渡すと、
私の後ろにはおそらく司会をしていた男が銃で撃たれて死んでいる。
他には部屋を囲むように黒いスーツ、黒いサングラスをして機関銃を持っている人が沢山いた。
「初めまして、お嬢ちゃん！
俺の名前は中村草田男。一応お嬢ちゃんの上司になる人間だ。
宜しくな！」
男は私に手を差し出している。
改めて目の前の男の全身を見ると、
長身で黒い外套を羽織っている。
周りの人とは格好が違うことから特別な地位にいる人だと分かった。
私は差し出されている手を見つめて、自分の手を重ねる。
そして
『異能力 【天空の蜂】』
男の手に針を突き刺そうとした。
「うぉっっ！？」
しかし男は直ぐに飛び退けたためその手に針が刺さることはなかった。
「中村参謀ッッ！？」
周りの黒いスーツ達が私に銃口を向ける。
私はついに死ねるのかと思ったが、
その通りにはならなかった。
「まぁ、お前ら待ちなさいよ。」
男は床に突き刺さった針を面白そうに見つめて、
「残念だけど、君を殺すわけにはいかない。」
言った途端男は私の後ろに立った。
振り返ろうとする前に首に衝撃が走りそこで私の意識は途絶えた。
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作者名：だし丸 | 作成日時：2017年2月3日 0時
