25針 ページ26
520万、570万、600万！
様々な数字が聞こえてくる。
620万までいったところで声は無くなった。
「それでは現在の最高額は620万円ですが宜しいですか？」
司会の人間が問うが誰もそれ以上の値段は言わなかった。
「では、ここでもう一つ皆様にお伝えしていなかった事があります。
この少女は
異能力者です！！」
異能力者、その言葉に反応したように人々がざわめく。
「更にその異能力は極めて残忍でとても強靭です！
躾をして守衛をさせるも良し！
他の人間と殺し合わせるのも良し！
さぁ！皆様！！
値段をお願いします！！」
「800万だ！」
「いやっ！うちは850万出すぞ！！」
「私は900万！！」
その後もどんどん値段は上がっていく。
だんだんと人々の興奮により収集がつかなくなってきた時
パァンッ
と乾いた音が響いた。
それにより騒がしかった空間は静けさに包まれた。
ゴツっと何かが床に当たる音と誰かが椅子から立ったような音が聞こえた。
「１億払おう。」
しわがれた老人のような声がそう答えた。
「聞こえなかったか？
１億払う、と言ったんだ。
他にそれ以上の者はいるか？」
先ほどと同じ老人が再びそういうと司会の人間は思い出したようにまた始めた。
「そ、それでは現在の最高額は1億円ですが他にそれ以上の方はいらっしゃいますか？」
誰も何も言わない。
「では、こちらの商品は１億円で取引させていただきます。
買取者の方は係員の指示に従って裏にお越しください。」
そこまで言うと私の入ってる箱は後ろに動き始めた。
箱の中に入れたまま連れられ、またどこかで止まった。
ガチャと音がして私は首に繋がれた鎖を後ろから引っ張られそのまま立たされた。
首も痛かったが後ろで結ばれている手や肩も痛くなってきた。
目を隠されているのとずっと座っていたためいまいち平衡感覚が掴めなくてふらつく。
「それでは、商品との交換をこちらで行います。」
「あぁ。」
司会をしていた男と老人の声が聞こえた。
それともう1人別の人物の気配を感じる。
どうやら、この部屋には私を含めたこの4人しかいないらしい。
「交換の前にまず、この商品の異能力について説明させていただきます。」
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作者名：だし丸 | 作成日時：2017年2月3日 0時
