22針 ページ23
『おかえりなさい。』
どうやら名探偵御一行が帰ってきたようだ。
「やぁ、Aもお疲れ様。」
治くんもにこやかに帰ってきた。
『治くんもおかえりなさい。
よくも私にすべて押し付けてくれたね。』
嫌味ったらしく言うが治くんは気にする様子もなくまぁね、と言って階段を上がっていく。
「Aー、お腹すいたー。
なんかお菓子ないー?」
名探偵こと乱歩さんがふくれっ面で言う。
『冷蔵庫にいちご大福がありますよ。』
と言うと乱歩さんはあっという間に階段を上って行ってしまった。
『敦くんも今日は色々大変だったね。』
私の横に立っていた敦くんの方を向くと
「乱歩さんってすごい人だったんですね。」
と、少し疲れた顔で言った。
『たしかに何も知らない人からしたらただのわがままな人にしか見えないだろうね。』
「探偵社の人達はみんなすごい人ばかりですね。」
敦くんは少し悲しそうに笑いながら俯いた。
また、そんなこと言うんだ………。
『敦くん、君だってもう探偵社の一員なんだ。
その事に自身を持ってもっと堂々とすればいいよ。』
敦くんの肩に手を置いて
『敦くんなら大丈夫だよ。』
そう言うと敦くんはぱっと顔をあげる。
ニコッと笑ってあげると恥ずかしそうに笑い返してくれた。
「あの、Aさん。
言いにくいことかもしれないですけどAさんは前はマフィアにいたんですか?」
敦くんは聞きにくそうに私に聞いてきた。
『昨日の路地裏の話し聞こえちゃった?』
意地悪く聞くとうっ、と気まずそうに敦くんは目をそらした。
『あはは!
そんなに気にしなくていいよ!
敦くんには聞こえてるだろうと思って話したからね!』
「ぼんやりとした意識だったのでハッキリとは覚えてないんですけど、
Aさんと……太宰さんが元マフィアだっていうことだけ聞こえて………。」
『うん、そうだよ。
この事を知ってるのは今のところ敦くんだけだから、みんなには内緒にしてて欲しいな。』
「もちろんです!!
あの、でもどうしてマフィアに居たんですか?」
敦くんの真っ直ぐな眼差しに耐えられなくて私は目をそらした。
『そうだね、なんでだろう……。
いろいろ、あってね。』
笑っているつもりで敦くんの方を見たがきっとうまく笑えていない。
『また今度話すね…』
それだけ言って私は敦くんから逃れるように探偵社に戻った。
*次から過去の話に入ります!*
(黒の時代編よりも前の話です!)
123人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時