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15針 ページ16

久しぶりに聞いた声は4年前と何も変わっていなかった。


「止めろ、樋口。
お前では勝てぬ。」


黒い少年、芥川龍之介は樋口さんに言って聞かせた。


「芥川先輩!でも!」


「太宰さん、Aさん。
今回は退きましょう──
しかし人虎の首は必ず僕らマフィアが頂く。」


「なんで?」


治くんも私も疑問符を浮かべる。


「簡単なこと。
その人虎の首には──
闇市で七十億の懸賞金が懸かっている。」


『え、七十億?』


「へえ!それは景気のいい話だね。」


治くんがたいして驚かなかったことが不服だったようで目の色が少しだけ変わった。


「探偵社には孰れまた伺います。
その時素直に七十億を渡すなら善し。
渡さぬなら──」


「戦争かい?探偵社と?
良いねぇ、元気で。」




『やってごらん──やれるのならね』


私も治くんも真っ直ぐに彼を見返す。



「……ッ
零細探偵社ごときが!
我らはこの街の暗部そのもの!」


私達2人の反応が気に食わないのか樋口が噛み付いてくる。


ポートマフィアがこの街でどんな存在か、語る樋口さんがひどく必死に見えて可哀想に思えてくる。


残念だがそんなこと話されたって脅しにもなりやしない。


「知ってるよ、その位。」


治くんも私と同じ気持ちのようで、つまらなそうに頭を掻く。


「然り──
他の誰よりも貴方達はそれを熟知している。



──元マフィアの太宰さん、Aさん。」

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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時

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