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12針 ページ13

目の前でちょこんと座るのは金髪の可愛らしい女性
そしてずらりと並ぶ探偵社の面子。


いや、なんの圧迫面接ですか……

私は流石にあの中には加わらず腕を組んで壁に寄りかかっている。


「えーと、調査のご依頼だとか
それで………」


谷崎くんが依頼内容を聞こうとした時、

「美しい……
睡蓮の花のごとき果敢なくそして華麗なお嬢さんだ」

治くんの悪い癖が始まった。


治くんのは依頼人の手を取って無駄にキラキラした笑顔で話しかけてる。

おまけにもう一つ別の悪い癖まで発揮し彼女のポケットにあるものを入れた。


「どうか私と心中していただけないだろ──」


そこで国木田さんの1発が治くんの頭に入る。


「なななな!?!?」


依頼人は大層驚いているようだが国木田さんは慣れてるもので「忘れてください」と言って治くんを奥の部屋に引きずっていく。


引きずられている治くんに目で問いただすとへらりと笑って躱されてしまった。



腹立つな、あの笑顔………



依頼人の方に目を戻すとどうやら依頼というのは彼女の働くビルヂングの裏手に善からぬ輩、
国木田さんが曰く密輸業者が現れるらしい。



…………「善からぬ輩」ねぇ。




あの切り替えの早さといい、落ち着いた様子といい


明らかに表の人間じゃないな。


なにより治くんが盗聴器を彼女のポケットに忍ばせた時点でもう怪しい。


他のみんながこのことに気づくはずなんてないけど


裏の人間である彼女がなぜ嘘の依頼までしてここに来る?


探偵社に危害を加えようとしている?
いや、それとも探偵社の誰かに用があるのか?


そこまでで考えを止めた。



いつの間に話しは進みこの調査は敦くんが行くことになった。


確かに見張るだけの簡単な仕事だから敦くんにもできるだろう。


最初ということで谷崎くん(とナオミちゃん)も一緒に行くらしい。




そこで奥の部屋に連れ去られていた治くんが戻ってきた。


彼を部屋の隅にまで引っ張り小声で話す。


『なんであんなもの彼女に仕掛けたの?』


「Aだって彼女が表の人間じゃないことぐらい分かってるだろう?
つまり何かしら行動は起こすだろうね。
いつでも私達が動けるようにするためだよ。


それにAだってさっき嫌な予感がしたんだろう?」


とっさに誤魔化したとはいえやっぱり治くんには隠しきれなかったか……。


『…………蜂は危険な空気には敏感ですからね』



治くんから目を逸らし床を見ながらポツリと言った。

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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時

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