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11針 ページ12

「最初に中てた人に賞金が有るンでしたっけ」


あぁ、そういえばそんな賭けもしてたなぁ!

もし誰か中てたら、それ私も払わなきゃならないのかな?
え、やだなぁ………なんでそんなどうでもいいことにお金を払わなきゃならないんだ!


「そうなんだよね、
誰も中てられなくて懸賞金が膨れあがってる」


「俺は溢者の類だと思うがこいつは違うと云う、
しかしこんな奴がまともな勤め人だった筈がない」


確かにまともな職場ではなかったかな?

国木田さんは私の方をちらりと見て

「だがAと同じ職場だったというのもわけがわからん」


『今の治くんの仕事っぷりを見ただけだとわからないでしょうねー』


そこで敦くんが懸賞金の金額を聞いた。


「参加するかい?
賞金は今……七十万だ」


言った途端敦くんはガタッと音を立てて立ち上がった。


敦くん、お金に目が眩んでるよ………


「当てたら貰える?
本当に?」


「自 殺主義者に二言はないよ」


いや、治くんどんな自信の持ち方してるのさ...


敦くんはありとあらゆる職業を言っていく。


もちろんそんな簡単に当たるわけもなく全て治くんに「違う」と跳ね除けられてしまった。


敦くんはもう思い当たるものがなくなったらしく唸っている。


国木田さんは治くんの方に視線だけを動かして


「だから本当は浪人か無宿人の類だろう?」


「違うよ」


『この件で私も治くんも嘘は吐きませんよ』


治くんは席から立ち上がって


「うふふ降参かな?
じゃ此処の払いは宜しく」


私も同じように立って『ご馳走様〜♪』なんて言ったとき、

谷崎くんの携帯が鳴った。

「ハイ………え
依頼ですか?」





その瞬間何か言いようのない不安が胸中を駆け回った。


なにか嫌な予感がする……………


私の勘は嫌な時ほど中る。
いわゆる危機察知能力が優れている。


「A?どうしたんだい?」


よほど深刻そうな顔をしてたのだろうか?
治くんが顔をのぞきこんだ。


『あ、ううん、なんでもないよ』


咄嗟に笑顔を浮かべて誤魔化す。


私たちは会計を済ませて同じビルにある探偵社に向かった。


自分の足取りがひどく重く感じた。

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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時

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