見ないで ページ33
観客がザワザワと口にする言葉はAの耳に届いていた。
「お前のそれ、なんなんだ？」
Aの頭を殴った瞬間、前髪が揺れ動いて、いつも隠していた頬の傷跡が一瞬だけ顕れてしまった。
しかもそれは爆豪だけでなく、観客にまで見えてしまった。
爆豪は純粋な疑問としてその言葉を投げかける。
『……ぃ…で』
「あ？」
Aは俯いてボソリと呟く。
聞き取れなかった爆豪は聞き返す。
『見ないでッッ!!!』
突然、叫ぶように、怒鳴るようにAが大きな声を出す。
その表情は目を細めて睨んでいた。
その感情が、爆豪かそれとも観客向けられているものなのかは分からないが確かに憎悪にも似た怒りがAの目に浮かんでいた。
「ッオイ、A!!」
観客席にいた叔父であるキリ斗がAの変化にいち早く気がつき叫ぶが、Aには届かない。
『嫌だ……』
Aは顔を歪ませてブツブツと言葉を発する。
それに共鳴するかのように、空気が鋭くなっていく。
ピリピリとした、攻撃的な空気が辺りを漂い、ステージの近くだけでなく会場全体の空気が変わっていった。
それはAから発せられる殺気に似たようなもの。
USJでAが黒霧に対して向けたものと同じだった。
「ッッ…!!」
爆豪はAの殺気に思わず息を呑む。
『もう嫌だ…これ以上…もう……』
Aは暗い表情のまま呟いて
腕を空に上げた。
その瞬間空気が蠢いて、Aを中心に引っ張られていく。
風とは違う、空気自体が丸ごと動いていく感覚。
「な、何だァ!!?」
「引っ張られる!?」
観客も生徒も引っ張られないように手すりや椅子に掴まる。
『ごめんね、これで終わり』
「あ"ぁ!?」
Aは集まった空気を掴んでいる手をそのままに爆豪に言う。
警戒して一歩後ろに下がろうとした爆豪に向かって、勢いよく腕を振り下ろした。
ブワァｯｯｯと轟音が鳴り響いた。
その瞬間、押さえ込んでいた何かが一気に放出されるように空気が辺りを凪いでいく。
「キャアア!!」
「今度はなんだよ!!?」
空気は会場全体を一気に走り外へと飛び出していく。
巻き上がる土埃。
震える空気。
鳴り響く空気の摩擦音。
ヒュオオオというか甲高い音がなり止んだ頃、誰もが飛ばされないように蹲っていた。
Aはステージ上で静かに立っていた。
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jumpcontrolbear(プロフ) - ベルさん» コメントありがとうございます！更新頑張りますね!! (2018年9月24日 0時) (
レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - 初めから読みました！更新楽しみに待っています！！ (2018年9月23日 19時) (レス) id: 5a526b3f59 (このIDを非表示/違反報告)
愛きゃん(プロフ) - 上手く表現出来てるか分かりませんが……(><) (2018年7月26日 22時) (レス) id: fd02c8ba12 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 愛きゃんさん» またまた描いて下さったんですか！？感激です！！ぜひ見させていただきますね！！ (2018年7月15日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
愛きゃん(プロフ) - またイラスト描かせていただきましたのでよければ見てってください！((土下座 (2018年7月14日 0時) (レス) id: fd02c8ba12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2018年4月23日 23時
