瞬殺 ページ19
「START!!」
瀬呂くんは開始と共にテープを轟くんに巻き付けた。
その勢いのまま場外を狙って振る。
「正直やっちまえ瀬呂──!!」
「悪ぃな」
ぞわと背筋が震えた。
そして目の前に現れた大きな氷壁。
キィンと氷の反響する音が響き渡る。
違う、現れたんじゃない。
轟くんが一瞬で出したんだ。
『ッ──』
轟くんは凍ったテープを振り千切り、払う。
「や、やりすぎだろ」
「瀬呂くん行動不能!!」
「ど…どんまい…」
「どんまーい……」
「どーんまい」
自然とわき起こるどんまいコールの中、轟くんが氷に近づき左手で溶かしていく。
その轟くんの様子が、どうしても昔の自分に重なって見えてしまう。
『……轟くん』
私が小さく呟いた声は誰にも聞こえなかった。
･
「ステージを乾かして次の対決!!」
遠くでそんな音が聞こえる。
実際はすぐそこでの音だが、今の私にはぼんやりとした音にしか聞こえていない。
A組の皆のところから離れて、会場の外通路に腰を下ろしていた。
″個性″を使って自分の周りの空間を少し変化させ、空気の″壁″を作り出す。
私は昔から、1人になりたい時や考え事をしたいときはいつもこうする。
この状態だと、外から誰かが″壁″に触れない限りはずっとこのまま。
今頃、電気くんと塩崎さんの試合が始まっているだろう。
本当は見て応援したいけれど、今の私の頭の中はそれどころじゃなかった。
記憶の中に浮かび上がる昔の自分と轟くんの姿。
「おーい、何やってんだ？」
突然、空気の″壁″が誰かに触れられて消えた。
その方に顔を上げた。
『あ…叔父さん』
「よ、A！」
プロヒーローの叔父さんが何故ここにいるんだろう？
「ハハ、警備も兼ねた見学かな」
叔父さんは私の思っていたことを察したのかそう答える。
やっぱり姉弟だからか、笑った顔がお母さんに似ていた。
叔父さんはどっこいしょ、とジジくさいことを言いながら腰を下ろす。
「お前また″壁″作ってたな」
ギクリと肩がはねた。
「今回は何について悩んでたんだよ？」
顔を覗き込もうととする叔父さんからなるべく目を逸らしながら、ボソボソと口にした。
『友達のことで…どうやったら、救けてあげられるかな…って……』
･
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jumpcontrolbear(プロフ) - ベルさん» コメントありがとうございます！更新頑張りますね!! (2018年9月24日 0時) (
レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - 初めから読みました！更新楽しみに待っています！！ (2018年9月23日 19時) (レス) id: 5a526b3f59 (このIDを非表示/違反報告)
愛きゃん(プロフ) - 上手く表現出来てるか分かりませんが……(><) (2018年7月26日 22時) (レス) id: fd02c8ba12 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 愛きゃんさん» またまた描いて下さったんですか！？感激です！！ぜひ見させていただきますね！！ (2018年7月15日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
愛きゃん(プロフ) - またイラスト描かせていただきましたのでよければ見てってください！((土下座 (2018年7月14日 0時) (レス) id: fd02c8ba12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2018年4月23日 23時
