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6章 6-1 ページ34




「──特異点、および霧の消失を確認」


異能特務課の通信室で、震える声が響く。


一瞬の沈黙のあと、わっと全員が歓声をあげた。




安吾も思わず安堵の吐息を漏らす。

体から力が抜け、椅子に座り込んだ。



ほっとしたようなオペレーターの声が、時計塔の従騎士が作戦の中止を連絡してきました──と告げた。



同日、同時刻。



重厚で伝統的な家具に囲まれ、繊細な刺繍の施されたソファに腰掛けた女が、報告を受けて「残念」と呟いた。



「国の焼ける匂いは紅茶に合いますのに」


落ち着いた声音でアガサは囁く。



涼やかな眼差しが、そっと琥珀色の水面に落とされた。



それから隣に置いてあった写真立てに移される。



縁の中には幼い少女の写真。



灰色の髪に緑色の目を持つ少女は笑うわけでも微笑むわけでもなくただじっとこちらを見ていた。



「会うのはまだ先になりそうですわ、私の愛しいハニービー」



アガサは細い指先で写真をそっと撫でた。
















Aside



『ん、んぅ……?』




沈んでいた意識が浮かび上がる。



ぼんやりとする頭で感じるのは身体が揺れ動いている感覚。



薄く目を開けば映るのは、治くんの顔。



どうやら、治くんに横抱きにされているらしい。




「目が覚めたかい?」



治くんは私に気づいて顔を覗き込んでくる。



『うん、あの後どうなった?』


「一件落着、かな?」


『そっか』



治くんの歩く速さに合わせた揺れにまた意識が微睡みそうになるのを何とか堪えて、治くんに降ろしてもらうように頼む。




「もう大丈夫なのかい?

まだ無理は善くない」



『大丈夫だよ、ちゃんと自分で歩かないとね』




フョードルに刺された時の麻痺性の毒がまだ微かに残っているのか、若干足が動かしにくい。


それを見かねた治くんが私の腕を肩に回す。



『ありがとう』


治くんに支えられ歩きながら更地になっている場所に向かえば、見慣れた後ろ姿が二つ。




私達の足音が聞こえたのか、二人は同時に振り返った。




二人を見るのが随分懐かしく感じて思わず、敦くんと鏡花ちゃんの顔をじっと見つめてしまう。



敦くんも治くんの顔をじっと見ていた。



「敦君」


静かな表情で、治くんが口を開いた。



この後治くんが何を云うのか判って私も少しだけ目をうつむける。




「今回、私とAはね──」



「太宰さんとAさんはこの街を守ろうとしたんですよね?」




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jumpcontrolbear(プロフ) - 消しゴムクイーンさん» コメントありがとうございます!!そうだったんですか……ぜひ余裕がありましたらDVDでご覧下さい!終始悶えます(笑) (2018年9月9日 1時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
消しゴムクイーン(プロフ) - こんにちは。DEAD APPLE…私、見れなかったんですよ!見たかった……これからも頑張ってください!! (2018年8月15日 13時) (レス) id: b53efceb36 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - なたさん» コメントありがとうございます!!本編の方も読んでくださってるんですね!ありがとうございます!すごく嬉しいです!更新頑張ります! (2018年5月4日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
なた - このシリーズめっちゃ好きなのでデッドアップル編まで読めて嬉しいです!これからも頑張ってください (2018年5月4日 22時) (レス) id: a61dc9da8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だし丸 | 作成日時:2018年3月23日 18時

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