目的は? ページ8
「何が一体どうなってるんだ……?
他の組織に殺されたのか?
それにAさんは何処に…」
敦がポツリと漏らした言葉に国木田も中原も芥川も押し黙った。
その中でただ一人、太宰は顎に手を当て考えていた。
「殺された組織の人々と、無くなった薬。
そして此処に居ないA……」
「太宰さん?」
ブツブツと呟く太宰に敦は不安そうな視線を送る。
「残念だが俺達はこれで帰らせて貰うぜ、首領に報告しなきゃならねえ」
「待てッ!マフィアの者を此処で逃がすわけにはいかん!」
歩きだそうとした中原と芥川にすかさず銃を向ける国木田。
「おいおい、今日は随分と好戦的じゃねぇか」
その言葉と共に中原の足元がミシリと音を立て陥没した。
芥川も外套を黒竜に変化させ臨戦態勢をとる。
国木田は銃を構え、敦も腕を虎化させる。
中原がジリ、と地面を踏みつけ飛び出そうとしたその瞬間
『そこまでですよ』
ストンと上から落ちてきたAは両者を手で制した。
いつか太宰が敦と芥川の戦いを止めたように。
「A!?」
「何でも屋……!!」
『おっとっと!』
Aの突然の登場に国木田は狼狽え、芥川は黒竜をAへと突進させた。
しかしAは自身の影から出した獣で黒竜を飲み込み、噛み千切る。
『ずっと皆さんのやり取りを見てましたけど……廃港といい今日といい、探偵社さんとマフィアさんはびっくりするぐらいタイミングが合いますね』
くすくすと口元に手をやりながらAは面白そうに笑った。
「手前…ずっと何処にいやがった…」
帽子のつばの影からAを睨む中原は怒気を孕ませた声で問いかけた。
『屋上ですよ、禍狗くんはそこまで調べませんでしたからね』
「チッ……」
挑発するようなAに芥川は舌打ちをする。
「つまり……今回のすべてはAに弄ばれた、ということかい?」
突然、静かだった太宰は肩を竦めながら、穏やかに口を開いた。
その目にはAに対する警戒心などは一切無い。
『流石太宰さんですね…ボクの思惑が全て読まれてしまうとは』
Aも太宰と同じ様に穏やかな口調で、少しだけ困ったように笑う。
「おい…さっきから何を云っているんだ!?」
太宰とAの不思議なやり取りに、痺れを切らした国木田が食いかかるように二人に身を乗り出した。
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jumpcontrolbear(プロフ) - 螺旋さん» コメントありがとうございます!!そんなに喜んでいただけて私も嬉しい通り越して恥ずかしいです(笑)またいつでも読みに来てください! (2019年10月17日 0時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 初めましてです!めっちゃすんごく感動しました!!なんでこんな良い作品に気付けなかったのだろう…。こんな素晴らしい夢小説を書いて頂きありがとうこざいました!!他作品(?)も頑張ってくださいね! (2019年10月16日 22時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!!そんなふうに言って頂けて凄く幸せです!この作品を楽しんで頂けて何よりです!これからも頑張っていきます!! (2018年10月16日 10時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
あまね - 初めまして、素敵な作品を最後まで書いてくださりありがとうございました! 二次創作でこんなに素敵な作品に出会えるとは思っていませんでした。最後まで飽きない設定、魅力的な主人公、時の流れ方や人の掛け合いがどストライクでした。これからも応援しています!! (2018年10月16日 2時) (レス) id: a12fc59e9a (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - Nightさん» コメントありがとうございます!なんとか完結出来ました!また他の作品も頑張っていきます! (2018年9月9日 11時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2018年3月23日 15時