思い出した ページ34
『云ったでしょ、殺すって』
ボクは驚愕で動かないお兄ちゃんに向けて銃口を向けた。
そして一切の迷いなく、引き金を引く。
銃から出た弾丸は真っ直ぐに突き進んで
お兄ちゃんの眉間に当たった。
その瞬間お兄ちゃんの姿はどろりと溶けて、黒い液体が床に落ちる。
それは一瞬のうちに砂のように風化して消えていった。
『ごめんなさい、もう終わりにしよう』
ボクは銃を仕舞って、歩き出す。
獣の元へ。
『ごめんなさい』
ボクは獣の鼻頭にそっと手を置く。
〔いつから気がついてた？〕
獣はポツリと呟いた。
獣は閉じていた目を薄く開けてボクを見る。
『夢を見て全部思い出した、ボクの異能に獣は存在しない』
お腹を刺されて気絶した時に見た夢。
あれは間違いなくボクの過去の記憶だ。
でも少しだけ違った。
あの夢の中ではボクは先を走っていて、後ろから追いかけてくるもう一人を振り返った。
現実は違う。
ボクは後ろから追いかける方だった。
前を走るお兄ちゃんを必死に追いかけて、置いて行かれたくなくて、お兄ちゃんを何度も呼んだ。
夢の中で頂上に着いたボクは、獣に首を薙ぎ払われた。
『あれは″私″がお兄ちゃんを殺した時にやったこと。
この場所で私はお兄ちゃんの首を薙いだ、獣を使って』
獣は徐々に小さくなっていき、ボクの背丈と同じくらいの大きさになった。
『ねえ、獣…貴方がお兄ちゃんでしょ』
獣は俯いて何も云わない。
無言の肯定。
『ボクが考えてることを全部云おうか』
獣──お兄ちゃんはゆっくりと俯けていた顔を上げた。
_______________……
大体は太宰さんと中原さんに話した通り。
孤児院で私とお兄ちゃんは一緒に育って、龍頭抗争により孤児院は襲撃され、生き残ったのはお兄ちゃんと私と先生達だけ。
その時私の異能が発動した。
そこで私は異能に引き込まれてお兄ちゃんと先生達を殺した。
これが私がついた嘘。
異能に引き込まれたのは私じゃなく、お兄ちゃんだった。
あの日、抗争の最中に何がきっかけかは分からないけれど、私とお兄ちゃんの異能が発動した。
それまで異能の存在すら知らなかった私達。
お兄ちゃんは異能生命体である影でできた″獣″を操り、私は動物の形をした影を従わせる。
【鳥獣戯画】は私とお兄ちゃんの二つで一つを成す異能だった。
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jumpcontrolbear(プロフ) - 螺旋さん» コメントありがとうございます！！そんなに喜んでいただけて私も嬉しい通り越して恥ずかしいです(笑)またいつでも読みに来てください！ (2019年10月17日 0時) (
レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 初めましてです!めっちゃすんごく感動しました!!なんでこんな良い作品に気付けなかったのだろう…。こんな素晴らしい夢小説を書いて頂きありがとうこざいました!!他作品(?)も頑張ってくださいね！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言って頂けて凄く幸せです！この作品を楽しんで頂けて何よりです！これからも頑張っていきます！！ (2018年10月16日 10時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
あまね - 初めまして、素敵な作品を最後まで書いてくださりありがとうございました! 二次創作でこんなに素敵な作品に出会えるとは思っていませんでした。最後まで飽きない設定、魅力的な主人公、時の流れ方や人の掛け合いがどストライクでした。これからも応援しています!! (2018年10月16日 2時) (レス) id: a12fc59e9a (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - Nightさん» コメントありがとうございます！なんとか完結出来ました！また他の作品も頑張っていきます！ (2018年9月9日 11時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2018年3月23日 15時
