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電話 ページ17

Aはどこかぎこちなく目線を左右に彷徨わせる。





テーブルの下で、太宰に握られた手を閉じたり開いたりを繰り返す。






そこで微かな振動音が二人の間に響いた。





『…太宰さん、携帯鳴ってますよ』




その発信源は太宰の携帯だった。




「今はAとの時間を楽しみたい」




『駄目です、出てください。

急用だったらどうするンです』





Aがキツめに云うと、太宰は渋々と席を立ち席から離れていく。






『ハァーーーー………』






その瞬間Aは片手で顔を多い項垂れ、深い深いため息を吐いた。





『(人に気を許すな……そう簡単にボクは愛されていい人間じゃない…。

どうせ、ボクを知ったら、皆離れていくんだから…いつか距離を置かれるくらいなら…最初から……)』





Aは顔を歪ませて一人考え込む。





それから不意に顔を上げて、携帯を取り出すと耳に押し当てた。





『もしもし、鳥羽です。

少しお願いがあるんですけど──』



















一方その頃、太宰は店を出ると未だに鳴り続けている携帯の釦を押した。




「もしもし、なんの用だい?


今すごく幸せな時間を送っていたのだよ。




──安吾」



「それは失礼しました、太宰君」




電話を掛けてきた相手は安吾だった。





「手短に済ませてくれるかい?」



「ええ、判りました。


では単刀直入に云います」






安吾の真剣な声色に、太宰は不思議に思いながらも安吾の言葉を耳で拾う。









「何でも屋、鳥羽Aとはあまり近づきすぎない方が善いですよ」




「!?……どういう意味だ?」




安吾の発言に、太宰は怪訝そうに眉を寄せた。





「彼は……いえ、彼女は






過去に唯一の家族を殺しています」







太宰の居る路地に風が吹き抜けた。






「……それは──」





「兎に角、彼女とは仕事以上に関わらない方が太宰君にとって安全です。

それでは」






安吾は一方的に話すと、電話を切った。






ツー、ツー、と通話の切れた電話を持つ太宰の手がだらりと垂れ下がる。







「なぜ…家族を……なぜそれを……安吾が……?」







太宰は壁に凭れながら、呆然とした表情で言葉を吐き出した。









また風が吹き抜け、太宰の砂色の外套を揺らした。

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jumpcontrolbear(プロフ) - 螺旋さん» コメントありがとうございます!!そんなに喜んでいただけて私も嬉しい通り越して恥ずかしいです(笑)またいつでも読みに来てください! (2019年10月17日 0時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 初めましてです!めっちゃすんごく感動しました!!なんでこんな良い作品に気付けなかったのだろう…。こんな素晴らしい夢小説を書いて頂きありがとうこざいました!!他作品(?)も頑張ってくださいね! (2019年10月16日 22時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!!そんなふうに言って頂けて凄く幸せです!この作品を楽しんで頂けて何よりです!これからも頑張っていきます!! (2018年10月16日 10時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
あまね - 初めまして、素敵な作品を最後まで書いてくださりありがとうございました! 二次創作でこんなに素敵な作品に出会えるとは思っていませんでした。最後まで飽きない設定、魅力的な主人公、時の流れ方や人の掛け合いがどストライクでした。これからも応援しています!! (2018年10月16日 2時) (レス) id: a12fc59e9a (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - Nightさん» コメントありがとうございます!なんとか完結出来ました!また他の作品も頑張っていきます! (2018年9月9日 11時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だし丸 | 作成日時:2018年3月23日 15時

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