狼になってもいいですか？【2】《I.Kei》

お前は今、幸せか？ ページ29

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幕が閉じる。
ハッピーエンドで終わった舞台の裏を、
誰も知ろうとはしない。


幸せで終わることが、一番心地よくて、気持ちいいからだ。


そう、誰も、バッドエンドなんて見たくない。



ヒーローとヒロインがくっつけば、
観客にとって、それがハッピーエンドなのだ。





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ヒロインに恋した第三者の幸せなんて、
誰も望んでいない。

第三者がふられることによって、
観客は喜び、
後はもう、ヒーローとヒロインの恋模様だけを楽しむ。






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そして、その第三者は、俺だ。





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様々な言葉が賑わう舞台裏。
減っていく拍手の音。

俺はハッピーエンドなんかじゃないのに、
みんな幸せそうだ。





こんな比喩表現。
これが一番、俺の人生のドラマを表している気がする。





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恋って、面倒臭い。
なのに、楽しい。


こんな矛盾してる恋心は、
いらないけど、欲しい。




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山田涼介。
Aに恋した約一年間。

何もしてこなかった長い年月の俺の人生に比べて、
一番濃い一年だった。







本当は、Aと恋人になりたかった。
恋人になって、
手をつないだりして、
デートをして、
キスをして。

体も心も一つになりたかったけれど。


それは無理だとわかってるから。





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静かに目を閉じて、
Aに恋をした記憶を思い出す。


静かに、涙を流しながら、微笑んで。






好きだ。
大好きだ。




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さよなら。

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