狼になってもいいですか？《IKei》

世界で一番お前が好きだ ページ19

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それは、衝撃なんて一言じゃ、表せない。





頭を金槌で殴られたような、
いや、そんな比喩表現でも表せない。


心に穴が開く。
もう二度と、塞ぐことの出来ないような。





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「……慧は、
そうしたいの？」





「そうしたいわけじゃないけど、
…俺は、弱虫だから。
辛くなったら、逃げたくなる。」





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時間は、遡ること数時間前。

いつものように、一緒に帰ってた。



こんな距離感でいられるの、
あと少し、なんて考えもせずに。





「A、
俺、世界で一番、Aが好きだし、

世界中を敵に回しても、
Aを好きでいることが出来る自信がある。





ま、Aはそんな悪人にはならないけど、ね。」





いつもより、なんだか少しさみしそうな笑顔で、慧は呟いた。



そのサラサラな髪は、
風に吹かれて、なびく。



いつもなら何も感じないその後当たり前のような姿に、

涙が出そうになったのは、
何故だろう。




もうすぐお別れなんだ、と、
風が告げた気がした。




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「どうしたの、いきなり。

嬉しいけど大袈裟すぎて恥ずかしいよ。」






そんな言葉を私も発していた。

あの言葉を聞くまでの時間のカウントダウンは、
刻刻と迫っていた。

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