27.一か八かの ページ30
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知念の後ろから奥を覗いてみると、木造の扉の端と端にガタイのいい二人の男が立っているのが見えた。
うわ、強そう…、
「大貴の予想通り、見張りは2人か…」
「どうすんの?めっちゃ強そうだけど」
「…ここで見つかれば元も子もない。
ヤツら相手に正面突破は危険だ。なにか奴らの気が引けるものがあればいいが、そんなものがあるとも思えない。」
…俺がなにか出来ることはないのか?
ここまで知念に助けてもらってばっかりだ。
俺だって役に立ちたい。いや、立たなきゃいけない。
少し強引かもしれないけど、一か八かやって見るか…めっちゃ怖ぇけど
「知念、俺に任せて。」
「?何を言ってる。ここは貴様がどうこう出来ることじゃ…おいっ、」
知念の後ろから出て、ほんの少しだけある見張りとの距離をつめる。辺りが暗いおかげでまだバレてはいない。
…そろそろか。
何があっても服装で怪しまれないようにと大ちゃんから借りたこっちの世界の水浸しの服に水が滴る髪の毛。ちょうど今は体力を消耗してる。
俺は侵入者なんかじゃない。
…外の川で溺れてここに迷い込んだ村人だ。
ポチャン…ポチャン…
地面に張っている薄い水が俺の足音のように音を立てる。
「ハァッ…ハァッ…」
それに合わせて少しずつ空洞に響く俺の乱れた呼吸。
俺の身体は寒さで震え、腕と足を打ち付けて歩くのも精一杯な状態でゆっくりと扉まで近づいていく。
「おい貴様、何者だ。」
前から低い声が聴こえて足を止める。
「どこから入った。ここは城のもの以外立ち入る事は出来んはずだ。」
もう一つの低い声。
それを確認してゆっくりと顔を上げて男二人と目を合わす。
「す、すみません…、仕事中に問題が有りましてっ、町からここに、迷い込んでしまいましたっ、あの、私をここからっ、外に出していただけませんかっ?」
「あの川の穴からか。」
「やはりあそこは塞ぐべきか。…いいだろう。ここに長居されても困る。上の裏口まで城の者に案内させる、少しここで待て。」
「っ!ありがとうございます!」
よし、このまでは…
「捕らえたところで、あの方にそれを知られたらまた面倒だ。」
あの方?
「ここで大人しくしてろ。」
片方の男が少し歩いて近くのボックスを開けてなにかし始めた。
もしかして、城の中への連絡口?
…今のうちか、
知念の方に一瞬だけ顔を向けるとバチッと目あった。
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涼奈(プロフ) - いろは。さん» お返事たいへん遅れました!すみません!ありがとうございます!更新頑張っていきますのでよろしくお願いします! (2018年12月24日 15時) (レス) id: 9c1cc16d73 (このIDを非表示/違反報告)
いろは。 - こんにちは。とても面白いお話で、いつも楽しく読ませていただいています!無理のない程度に、更新 頑張ってください。 (2018年9月16日 23時) (レス) id: 0043e2938f (このIDを非表示/違反報告)
涼奈(プロフ) - ももかさん» ありがとうございます!更新ペースがバラバラですが必ず投稿しますのでこれからもよろしくお願いしますっ! (2018年8月11日 16時) (レス) id: 9c1cc16d73 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 更新、楽しみにしてます!焦らず、頑張ってください! (2018年8月11日 15時) (レス) id: 76b5a75f64 (このIDを非表示/違反報告)
涼奈(プロフ) - 未央さん» ありがとうございます!!更新遅れてしまいすみません、頑張ります! (2018年8月11日 2時) (レス) id: 9c1cc16d73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼奈 | 作成日時:2018年4月10日 17時