日常の端っこ-短編集-【JUMP】

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『…よし。

あの、洗剤は？』



あ、また見惚れちゃってた…


しかも、コインランドリーの使い方聞いてなかったし…！






って！！



「わ、忘れちゃいました…」





そう、私は肝心な洗剤も柔軟剤も
忘れてきてしまっていた





『ここのコインランドリー古いから、洗剤持参しなきゃなんですよ。
…まぁ、今日は僕の使ってください。』




「え、悪いですよ…私、うち近いので取りに行ってきます！」



『もう遅いです。…入れちゃいました』



「あ！
すみません…何から何まで、」



『…すみませんって、口癖ですか？』




ふふ。って袖口を口元に当てて笑ったその人


ピンク色の唇から見える、
リスみたいな歯が可愛い








「へへ、」



思わず、つられて笑ってしまう


彼の可愛いオーラに包まれたみたいな
空気感の中、





ピピーッ



似つかわしい音が鳴り響いた






『あ、僕の終わりました。』



それは、彼の洗濯が終わったサイン






『古いから、音もうるさいんです。』




にこにこ笑いながらそう言うと、
レジ袋に終わった洗濯物を詰め込んだ彼





レジ袋…


見た目は可愛いのに、
そんなところが男の子っぽくて
なぜだかきゅん、と胸が高鳴った






『それじゃあ。』



あ、もう帰っちゃうんだ…

少し寂しい。
なんて思ってしまう自分、ちょっと変…？






「あ、本当にありがとうございました！」





ぺこっと頭を下げたその人は、ガラガラと扉を開けて



『使い方、ちゃんと見てなきゃだめですよ？』



その一言を残し、
私の家とは違う方向へ歩き出した








使い方…？


あっ！
私が彼に見惚れてて、
使い方見てなかったのわかってたのかな…




あぁもう…

ぺたり、と床に座り込んだ私





これは…
一目惚れってやつなの…？





また、会いたい。

さっきまで目の前に居た、
あの人の顔を頭に浮かべる




そして、コインランドリーに漂う
彼の柔軟剤の匂いに、
今まで感じた事のないような
胸の高鳴りを感じていた…





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