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ベランダから部屋に入ってきた青年は、ご飯の匂いで釣られてきたらしく
キッチンに立つ私の隣にピタッとくっついた。
青「肉…」
出来たての生姜焼きを見て
彼は喜んでいるのか、私の服の袖を小さく掴んでいる。
お腹空いてるのか、ぐぅっと音が聞こえた。
お皿を渡すと、素直に配膳を手伝ってくれた。
分かりやすくて可愛い。
青「…なぁ」
「ん?」
呼ばれて彼を見ると、すぐ傍には青年の顔があって、簡単に唇を奪われた。
優しく触れるだけのキス。
いつもの違うキスに戸惑うと、
青年は椅子に座り、「いただきます」とご飯を食べ始めた。
特に何も求めていなかったようで、少しがっかりした。
青「うまい…」
子どものように目を輝かせ、彼は米粒を口につける。
このあざとさは、誰にでも見せているのだろうか。
狙ってやっているわけではなさそう。
私も椅子に座り、ご飯を食べ始めるが
すでに生姜焼き1枚消えている。
キスした時に取ったな…。
悪い男。
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作者名:七瀬 | 作成日時:2020年11月27日 22時