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「今日は帰ってくる?」
いつものように、青年は外に出ようとしていて
私が問うと、顔すら見てくれないのはいつものこと。
お見送りしようと
ついでに忘れ物のたばこを渡した。
青「しらね」
「そう、じゃあご飯作ってるよ」
青「いらねぇから、もうあっち行け」
彼はタバコをポケットに突っ込み、乱暴にドアを開けた。
何か言いたげな顔を見せ、外へと出ていってしまった。
ご飯用意してほしいならそう言えばいいのに…。
部屋に戻ると、ちょうどスマホが光っていた。
いつもはあまり見ないけど
慧からのメッセージだったから、すぐに開いた。
慧『引越しすること考えてくれた?』
慧は、私と一緒に住みたいと前々から言ってくれていた。
街から離れたアパートに1人、心配でたまらないらしい。
『もう少し考えさせて』
そう返事をし、椅子に静かに座った。
慧のことは好き。
だけど…彼はとても遠い存在。
私は私の世界が好きだから、壊したくない。
その私の世界には、同じ世界を持つ青年がいる。
ひどいな私…比べたらいけないのに。
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作者名:七瀬 | 作成日時:2020年11月27日 22時