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「失礼致します」
車で20分ほどした、町のど真ん中に建っているインテリアの会社。
大きな会社だから、そう簡単に中に入れないのだが
慧の社員証を持って、社内に通してもらった。
広すぎて迷子になりそう。
慧のいる部署に行くと、全員が私に視線を集めた。
うまく見れなくて下に視線を持っていくと
女性の方が近づいてきた。
女「どうされました?」
「あの、伊野尾の…」
女「あっ、伊野尾さんの」
慧がまだ元気のうちに、会社に電話して説明してもらっていた。
女性の方もすぐに理解し、慧のデスクへと走っていく。
荷物を受け取るだけなのに、ここにいると吐き気がした。
女「初めまして、慧さんにはいつもお世話になってます」
胸元を強調したブラウス、短いスカートを履いた
若い女の子が近寄ってきた。
甘い声で、私に媚びを売っているようで
私は何も言わずに頭だけを下げた。
彼女は耳に髪をかけ、にっこりと笑って見せる。
女「慧さん、大丈夫なんですか?」
「えぇ」
話を流しながら
あまり話を繋げないようにしているのに、彼女は私と距離を詰めようとする。
すると、いいタイミングで慧の荷物を持ってきた女性。
私はそれを受け取り、無理やり話を終わらせて会社を出た。
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作者名:七瀬 | 作成日時:2020年11月27日 22時