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「送ってくれてありがとう」
慧「いいんだよ、夜は危ないからね」
自宅のアパートまで送ってくれた慧。
車から降り、助手席のドアまで開けてくれて
手まで差し出してくれたから、男としては完璧すぎる。
じっと顔を見つめると、戸惑って目を泳がせた。
慧「いつも意地悪だね」
そう笑った彼は、手を絡めて体を寄せる。
もう片方の手で頭を撫で、優しくおでこにキスをした。
慧「じゃあ、またね」
「うん、また」
体が離れ、慧は車に乗りエンジンをかける。
私を見て、笑顔で手を振って行ってしまった。
彼は紳士でかっこいいけど、私を大事にしすぎている。
肉食なはずなんだけど
草食なふりをしてるのは前から知っている。
私はゆっくりアパートの階段を上った。
アパートを上ったところで
私の部屋の前に何かがあった。
あったというより、いる。
赤いパーカーの…見覚えのある背格好。
.
あの青年が、部屋の前で丸くなって寝ていた。
信じられなくて静かに近づき、フードの中を覗く。
見間違いではなく、本当に昨夜共にした青年だった。
寝てる青年の目の前にしゃがみこんだが起きそうになくて
そっと唇にキスをした。
すると、青年の目がゆっくりと開く。
かなり寝ていたのか、寝ぼけているようだった。
「…おはよう」
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作者名：七瀬 | 作成日時：2020年11月27日 22時
