□Story.10 ページ10
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学校に戻るとみんなは既に各自の部屋で
時間を過ごしているらしく
共有スペースには誰もいない。
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と思ったのだけれど、俺らが使うことのなかった
キッチンから物音がした。
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案の定、使っていたのはA。
俺に気づいて急いで駆け寄ってきた。
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あ「おかえりなさい。」
裕翔「ただいま。ご飯、自分で作ったの?」
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あ「うん。ほら…………学費もタダ出し、
住むところも与えられて……何かしたくて。
あのね、裕翔の分も残しておいたんだよ。」
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テーブルに一皿、オムライスが残っていて。
ケチャップで俺の名前が入っていた。
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裕翔「大貴のリクエストでしょ、これ。」
あ「へっ……あ、うん。よくわかったね。」
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裕翔「分かるよ、大貴の大好物だから。」
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スプーンを手に取って一口頬張って
どこか懐かしい味。
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最近、味わったことのない優しい味だった。
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あ「どこ、行ってたの?」
裕翔「実家。」
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あ「やっぱり、お城みたいに広いの?」
裕翔「フッ……何それ。夢見すぎだから。」
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あ「でも、私の家よりは広いんでしょ?」
裕翔「まぁ、そこらの家よりは普通にデカいね。」
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やっぱり、Aを生徒会に入れて正解だった。
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落ち込む暇もないし、面白話をしてくれるから
気分もあまり沈まなくて済む。
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裕翔「俺がいなくて寂しかったんでしょ。」
あ「ち、違います!」
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裕翔「嘘つかなくてもいいよ?
寂しかったからどこ行ったのか気になったんでしょ?」
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作者名:おんぷ♪ | 作成日時:2013年6月21日 18時