□Story.9 ページ9
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1か月に1度。
俺は実家に帰る。
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「あー、ほら……直輝さん、笑ったわ。」
「おー、本当だな。」
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小さな赤ん坊を抱きかかえた女性。
その隣で幸せそうな顔をしている男性。
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「おー、帰ってきてたんだな。おかえり。」
裕翔「ん、ただいま。」
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俺に向けられる鋭い視線。
もう、そんなのにはいつの間にか慣れて。
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いつ慣れたかなんて覚えていない。
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2階の階段を上がり、廊下を歩いて
ずっと奥にあるその部屋は
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俺の大切な部屋。
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子どものころからずっとその場所が好き。
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唯一、俺に笑いかけてくれる綺麗な人。
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裕翔「生徒会に新しいメンバーが入ったんだ。」
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貴方も生徒会に入ってたんだよね。
だから、俺も入ったんだよ。
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瞼を閉じると薄ら蘇る貴方の姿。
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「もう帰るのか?ご飯でも一緒に……」
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「直輝さん、裕翔さんは忙しいのよ。
無理強いしては良くないわ。」
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抱えられている赤ん坊はスヤスヤと寝ていて。
この子には何も罪は無い。
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むしろ、罪があるのは…………
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「学校がお忙しかったら無理はしないでね。」
裕翔「…………はい。」
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この大人。
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よりも、俺の方。
俺と貴方、何だ。
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作者名:おんぷ♪ | 作成日時:2013年6月21日 18時