第７７話 Flowey Side ページ9
Flowey side
それから僕はこの世界の理について説明した。きっとこの少年は、あのAの本当の姿。このAとスケッチブックがなによりの証拠だった。
それに、昔あった時のAと同じように僕の調子を狂わせるのが上手なんだ。
「お礼と言っちゃなんだけど、君を描いても良い？」
「ぼ、僕を……？このFloweyを！？」
「うん、もしかして嫌？」
Aが僕の説明のお礼として、僕の絵を描いてくれるらしい。本当にあの時の記憶がないのにAはAなんだと思い知らされた。
「こんな地下世界に落ちてきて呑気に絵を描くだなんて君はやっぱり頭が空っぽなんだね！……けど、まぁ、そんなに描きたいなら……良いよ」
「あはは、空っぽなのかも？というより、絵を描くことばかり考えてるからなぁ」
煽りを入れても軽やかに交わされる。というより反論がないからなのだろうか。でも、潔いところもAらしい。
それから会話を交えているとAが僕の絵を描き終えてしまった。もう少しだけこの時間を過ごしたかったけど仕方がないことだ。
描き終えたAが僕にデッサンを見せてくれた。この絵柄は本当にAのものだった。
「Aは本当に絵が上手いね」
「……え、ちょっと意外だな」
どういうことなんだろうか？
「い、意外って何さ！？僕が素直に褒めちゃいけないのかい！？」
「だって！てっきり照れながら『よくも僕をそこまで下手に描けたね〜』とか言うかなぁ〜って思ってたから！で、でも嬉しい！嬉しいよ！」
ちょいちょい意地悪なことを言ってしまったけど、Aの絵を悪くなんて言いたくない。けど、このまま素直に認めるのも癪だった。
「そうさ！お世辞さ！君なんかよりも僕をもっと上手く描ける奴を知ってるしね！」
「な、なんだと！？誰だそいつは！！」
それは昔のA。だなんてとは言えない。確かに昔のAの方が上手くかけていた気がする。それは、この地下世界に来てたからも描き続けてたからだろう。けど、今はその頃の記憶がないんだから、経験値が反映されていないんだ。
「えっと……今は会えない」
「……ご、ごめん」
「そうだA！ここにいればTorielっていうモンスターが来るはずだから彼女の言う通りにしていれば安全だよ」
僕は自分のプランを進めるためにAに付きっ切りではいられない。だから、Torielに守ってもらう。
「Torielさんだな」
「うん……そ、それじゃあね」
「ああ、またな」
Aの返事を聞いて僕は地面に潜った。そろそろ彼女が見回りに来る時間だからね。
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作者名：アルフ | 作成日時：2020年1月19日 18時
