第103話 ページ35
返事が気になるけど、やっぱり難しいかな。Asrielは俺のことを親友だって思ってるだろうから、それを恋愛に発展させたいだなんて難しいだろうな。
「や、やっぱり親友なのに……しかも男同士で告白って……やっぱり変だったよな……あはは……」
俺がそう言うとAsrielは困ったように照れ臭そうにして、もじもじしながら見上げて俺の目を見た。緊張して俺は息を飲んでしまう。
「その……良いよ」
「ぇっ」
「ちょっとビックリはしたけど……Aなら、同性でも良いかななんて……」
Asrielは はにかみながら答えた。求めていた答えだったけど、まさかAsrielからそれを貰えるとは思わなくて俺は唖然としてしまった。
「その……OKってこと……?」
「……うん」
「恋人になってくれるってこと……?」
「……も、もう!何度も言わせないでよ!ぼ、僕だって恥ずかしいんだよ!」
何度も確認したらAsrielに怒られてしまった。けれど、赤面して怒る姿も愛おしい。俺は無意識のうちに抱きしめていた。そして、Asrielも抱きしめ返してくれる。
「えへへ、その……すごく嬉しいよA」
「俺も受け入れてもらえて嬉しい」
Asrielを感じる。本当に懐かしい匂いだ。もっとAsrielを感じたい。昔、もっとこうしたいとか色々思ってた。けど、親友や家族という関係じゃ出来なかった。
「キスしても……良いかな」
「……え?」
見つめ合える距離に体を離して言えば、Asrielは目を見開いて聞き返してきた。
「ダメ……かな?」
「……そ、その流石に急には恥ずかしい」
「うん、それなら仕方ないな……」
その言葉で俺が諦めたのだと思ってホッとしているけど違うんだな。ちょっと強硬手段に出ようと思う。そのために遥か昔の俺は布石を打っていた。
「昔やったオセロの勝敗って覚えてるか?」
「え?うん、Aが強くて全然勝てなかったけど……あっ」
Asrielは今ので思い出したみたいだ。勝負に負けたら、勝った方の言う事を何でも一つ聞くことという権利が与えられるのだ。
「だから、キスしよ!命令だ!拒否権はないぞ!」
「こ、こんなことにそんな命令を言うの!?」
「だって!Asrielとキスしたいんだ!俺たちの約束事だからダメだとは言わせねえ!」
「い、意地悪!!そういうところくらいは人間の記憶が戻って治ったと思ってたのに!権利の濫用だ!」
「……恋人なのにキスのひとつも無いなんて」
態とらしく悲しんで見せたらAsrielは顔を歪ませた。
「うっ……わ、わかったよ!」
これで交渉成立だな。
どうせオセロ勝利時の権利を使うなら、こういう場面で使ってみたかった。
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作者名:アルフ | 作成日時:2020年1月19日 18時