第89話 ページ21
「君は僕にとって大切な存在だ……。だから大人しく捕まっててね」
Floweyはそう告げると俺をトゲのない蔦で優しく縛り付けた。それを振り解こうと抵抗するが、力を込めても振り解けるものではなかった。
「お、おい!何をした!?何するつもりなんだ!?」
「僕は人間たちのソウルを頂いた。それだけじゃない……」
そこまで言うとFloweyは恐ろしい顔つきでFriskを睨みつけるように見た。
「君の友達のソウルをぜーんぶ頂いちゃう!フフフ……これは傑作だね。だって……ぜーんぶ君の所為なんだから」
Friskは何も答えない。だが、無視しているわけではなくFloweyの言葉を聞いて険しい表情を見せていた。
「みんな君のこと好きになっちゃうからいけないんだよ。君はみんなの話を親身になった聞いてあげて、励ましてあげて……親切にしてあげた」
Friskに何が言いたいんだろうか。
「君がそんなことをしなければ、みんなここには来なかったんだ」
たしかにそうかもしれない。俺はFriskがみんなに何をやってきたのかは知らないが、愛のあるその行為を否定されてはいけない。間違っている。
「彼等のソウルと人間のソウルを手に入れて、僕はやっと本当の姿になれる」
「本当の……姿?」
「そうだよ、君の親友だった……家族だったあの頃の姿に……」
Floweyは満面笑みを俺に向けた。
「君がこのタイミングで落ちてきたのは驚いた。けど、嬉しかった。まるで神様が僕達をめぐり合わせてくれたんだって」
俺はFloweyと過去に会っているのか……?それも花じゃないFloweyと、モンスターだった時の俺と……?
「君を楽しかったタイムラインまで連れ戻して、また一緒に幸せに暮らすんだ。」
気持ちはありがたい。けど、そのためにみんなのソウルを……?そんなことは許されるのだろうか?いや、許されない……。
「ダメだ!まだ間に合うから考え直せ!」
「……ダメだよ。僕はずっとこの時を待っていたんだ。僕はあの幸せだった時を忘れられない。だから、ここで終わらせるわけにはいかない」
終わらせるわけ……?Floweyは一体なにを喋っているのか……俺には全然分からない。
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作者名:アルフ | 作成日時:2020年1月19日 18時