第87話 ページ19
疲労困憊だったが俺は駆け足でTorielさんがいるところに向かう。何やら他のモンスターも到着地に向かっているようだった。
何かイベントでもやっているのだろうか?でも、彼らについていけば目的地に辿り着くのだと理解した。それからはモンスターの波に身を任せて一緒に向かう。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
酸素が足りない。軽く目眩がする。なんなら足元がふらつく。簡単な体力不足だけではないということは何となく理解できた。間違いなく病がこの身を蝕んでいるのだと。
「T、Torielさん……それにFriskまで……」
フラつきながら呼ぶと二人とも驚いた顔をしていた。すぐにTorielさんが駆けつけて俺を支えてくれる。
「えっ、どうして貴方がここに!?」
「Alphysって名乗るモンスターから場所を教えてもらって……でも、何で俺の名前とか知ってたんだろう……」
そう答えると黄色いモンスターが焦った表情で駆け寄ってきた。他のモンスターたちは不思議そうな顔で俺を見ていた。
「えっ、もしかしてさっきの電話、貴方が出たの!?」
「あ、あぁ……貴方が電話の相手だったんですね……はぁっ……はぁっ……。その……道端で倒れているモンスターを家まで運んで……そいつの携帯が鳴ったから……でも何で俺の名前を……はぁっ……はぁっ……」
「そ、その携帯電話を持たせたモンスターの名前がAだったから、まさかそんな偶然があるだなんて……」
あれっ……?もしかして、それってTorielさんが言っていたモンスターのAじゃないのか?
「その話は本当なのA!?」
「はい、Ruinsを出た先の雪道で倒れているのを見つけて……はぁっ……」
「な、なら!すぐに行かなくちゃ……!」
焦ったTorielさんは取り乱している。けど、何度も呼んでも目覚める気配がなかったんだ。
「きっとすぐには目覚めない気がします。何度呼んでも反応すらなかったので……まるで空っぽでした」
「だとしたら……言いにくいんだけど……また長い眠りに就いてしまったのかもしれないわ……」
俺とAlphysの言葉にTorielさんは泣き出しそうな顔になってしまった。Torielさんにそんな表情をして欲しくはなかった。けど、言葉では言い表せられないけど、きっと大丈夫だと……何かが告げている。
Torielさんは黙ってしまった。この場も盛り下がってしまっている。
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作者名:アルフ | 作成日時:2020年1月19日 18時