第83話 ページ15
「Torielさん、やっぱり心配なんでしょう?」
「……」
「Friskを追うべきです」
俺がTorielさんにそう勧める。Friskを止めることはできない。けど、追いかけること守ることならできる。それでどうにかなるかは分からない。
「で、でも」
「俺のことは気にしないでください。この数日で家事は覚えたし大丈夫。もし何かあれば電話するから」
反論の余地を無くすように俺は言いくるめる。今のTorielさんを見続けることは俺には出来ない。やれることはやるべきだと思う。
「Friskを見つけて止められるかは分からない。けど、Torielさんがいれば、Friskを守ることができるかもしれない」
「……わ、わかったわ!何かあったら直ぐに私に電話してね!すぐに駆けつけるから!」
「はい!もちろんです!」
何かあったら電話することという約束事を提案することでTorielも納得して、Friskを追いかけると言うことに決心する。
「助かるわ!少しの間待っててねA!何かあったら電話するのよ!絶対よ!」
「はい!」
Torielさんはすぐに出て行ってFriskを追いかけた。間に合うことを俺は祈ろう。
その結果がどうなるかは分からないけど、このままTorielさんが子供を見送るだけという事態は避けさせたかった。きっと彼女は再び後悔するから。
「さて、俺は気長に待つか……」
とりあえず寝よう。俺もちょっと疲れた。というよりも何だか疲れやすくなった気がする。Torielさんには言わなかったけど……きっと大丈夫。
ベッドに入り眠りに就く。Torielさんの決心がついた姿を見て安心したのか、潜在的に繋ぎ止めていた糸が眠りに就くと同時に切れたような気がした。
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作者名:アルフ | 作成日時:2020年1月19日 18時