ジュリエッタ 2 snm SW

共謀　side渡辺翔太 ページ10

.


.
「もしもし翔太？」と連絡してきたのは綾香で


「おう、お疲れ、どうした？」


「今日、私ふっかに不動産の整理のことで会う事になってるの」


「ふーん」


「興味なさそうな声ね」


「別に綾香とふっかが会おうが興味ねーよ」


「Aの会社の近くなんだってふっかの会社」


「お前、何企んでんだよ」


「人聞き悪いな、たまたま待ち合わせをふっかの会社の近くにしただけでしょ」


「なぁ、Aの邪魔してやんなよ」


「失礼だな邪魔してなんてないわよ、あー、でもちょっと意地悪しちゃうかもね」


「マジでやめろよ、お前、性格悪りぃぞ」


「だってあの二人見てるとイライラするんだもん
翔太だってそうでしょ？」


「俺は…」


「ふふ、じゃあね」

一方的に電話を切られた
仕事を終えてAの会社の方向へ足を向ける

近くから電話をかけたら会社にいるという

打ち合わせとか現場だったらよかったのに…

そう思いながらもAを飯に行こうと呼び出した

何時にどことは聞いてない
偶然会うなんてことも早々起きないはずなのに示し合わせたように綾香とふっかを見つけてしまうA


俺は何も言わずにAの手を引いて自分家の方へ足を向けた

マンションの前に着いてAをみたらハラハラと泣いていた


たまらなかった…他の男の事で涙を流すAも
あの場面を見せてしまった俺も…


「片思い辞めたら？」何も答えないAに


「俺が忘れさせてやるよ」そう言って

涙を拭う手をとり引き寄せた

恐る恐る背中に回る手

肩口に顔を埋めてる俺とほとんど身長は変わらない
横を向けばキスの距離だ


「あの…」


「なに？」


「えっと、恥ずかしいです」


「俺もだから」


「あの、」


「だからなに？」


「これ、いつ離れるのが正解ですか？」


「なぁ、ここ俺んち、連れて帰っていい？」


「…いいですよ」


Aはそう言った


恥ずかしそうにするから俺まで照れてしまう

部屋に連れて来てスリッパが無い事に気づいた

「今度買っとくわ」自然と言葉が口を突いて出た

手遅れ　side深澤辰哉→←ベタ褒め

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す