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離れまであと少しのところまできたその時だった。


突然、服を掴まれ近くの部屋の中へ倒れ込んだ。


そのまま引き摺られ、気づくと酷く荒れた部屋の中心にいた。


「だ、大丈夫ですか?」


最初に倒れ込んだときに離れてしまったこんのすけが、Aへと駆け寄る。


「お怪我はありませんか?体を起こすことはできますか?」


「………」


慌てるこんのすけを余所に、Aはゆっくりと倒れていた体を起こした。


「お怪我は無いようですね……」


「こんのすけ、そいつが新しい主?」


座った状態のAの前に立ち、蔑む目を向ける赤いマフラーが特長の刀剣男士。


その後ろ、Aを取り囲むように十数人の刀剣男士たちが立っていた。


皆、例外なく傷つき、手入れされないまま放置されたため、固まった血が服や肌についていた。


「加州清光様……はい……こちらが、新しい審神者様のクロユリ様にございます」


加州から放たれる殺気に、身体を縮こまらせながらこんのすけが答える。


「ふーん」


興味なさげに鼻を鳴らし、冷たい瞳でAを見下ろす。


Aはただ、加州清光の前に座っているだけだった。


何の反応も示さず、まるで、人形のように。


加州清光は、早くも本体である刀に手をかけた。


それを見たこんのすけの顔が青ざめる。


「か、加州様、お待ちください!」


ゆっくりと抜かれていく刀は、刃こぼれがひどく、所々にヒビが入っていた。


いつ折れてもおかしくない状態である。


「ヤダよ。もう人間の主なんて要らないから」


言うが早いが、上段に構えた刀を素早く振り落とした。


「……っ!?」


が、Aの上げた右手の数センチ先で、『ガキン』と鈍い音を立て刃は止まった。


Aは、左手の人差し指と中指を立て、口の前で構えている。


「結界か?こんな短時間で!?」


刀剣男士の一人が驚きの声を上げる。


それほどに早く、そして最古参にして本丸内で最強の、加州清光の剣撃を止めるほどに強力な結界を張ってみせたのだ。


驚くのも無理はなかった。

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藍央(プロフ) - そうですか、すいません余計でしたね。 (2019年3月4日 12時) (レス) id: 3d1ad82df4 (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 藍央さん» 申し訳ありませんが、キャラクターの性格、話し方等の指摘は受け付けておりません。詳しくは続編に書いてありますが、私も私なりの考えのもと書いています。ご了承お願いいたします (2019年3月3日 23時) (レス) id: 71334657d1 (このIDを非表示/違反報告)
藍央(プロフ) - 江雪や宗三の話し方はわざとですか?仲間の刀剣男士には普通に喋ってもいいと思うのですが… 話はすごく面白いです! (2019年3月3日 21時) (レス) id: 3d1ad82df4 (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 面影草さん» お気遣い、ありがとうございます(^^)私は、気にしないようにしているので、今後、もしまた悲しいコメントがあったとしても、放置してしていただいて構いません。いつも読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m (2019年2月26日 9時) (レス) id: 3090af0f06 (このIDを非表示/違反報告)
面影草(プロフ) - ブラッディ・ドリーマーさん» 返信ありがとうございます。文面がちょっと受け取る側からしたら火に油を注いでるように感じたかもしれません。喧嘩をするつもりはありません。今後、このようなコメントがなくなると良いですね。 (2019年2月26日 9時) (レス) id: 50c6120963 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あき | 作者ホームページ:    
作成日時:2019年2月7日 16時

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