2人で最強 ページ6
ひょっこり顔を出してみると、ちょこんとベンチに座り髪を括らずにロングのままの新鮮な傑を目にした
何処か疲れているような顔をしている傑は何度目か分からないため息をついていた
『…』
バレないように、すすっと横に移動する
『(こんなに近づいても気づかないなんて、余程疲れているんだろうか)』
そんなことを思いながら、傑の肩に軽く触れてわっ!と声を出す
そうすればビクッと肩を揺らし、驚きましたと言う顔をしてくれる
うん、流石だと思う。悟は全然引っかからないから面白くないし
『元気?…って言っても最近任務とかで忙しいよね』
『あのさ、ここ最近傑ちょっと変だよ』
夏からだ、君が分かりやすく疲れたように見えたのは
ずっと、傑にどうしたんだって聞けてなかったけど、今は聞くべきだろうと思う
『なんかあったら教えてよ、私力になるし』
ふんっと意気込めば、からっと笑う傑
傑『うーん、この頃色々と悩んでてね』
『何に?』
傑『悟、最強になっちゃっただろ?』
最強?悟が?
『悟と傑、2人で最強でしょ?』
傑『前まではね』
前の時のような自信がない傑に言葉を失う
傑『悟にもう私は必要ない、文字通り最強になったんだ』
傑『それに悟は、1人の時の方が力を出せるんだ』
『ま、待って傑』
マイナス思考へと落ちていっている傑をどうにか止めようと、言葉を紡ぐ
傑『それはAも分かってるだろ?』
こちらに向けられた瞳がやけに悲しそうに見えた
何か言わなきゃ、どうにか頭を回して事実を伝えることにした
『傑、マイナス思考ダメだよ』
『それに悟は、傑がいなきゃダメなんだよ、私なんて代わりにならないぐらい、傑は((傑『君は本当に優しいな』
慈悲に溢れたその目で、傑は寂しそうに笑う
どうにかその表情を幸せいっぱいの笑顔にしたくて、あれこれ言葉を並べてみるが
バカな私の頭は、心に染みる言葉を紡ぐことはできない
『…なんて言えばいいのか分かんないし、私は皆んなみたいに頭がいいわけでも、強いわけでもないけどさ、傑はとにかくすごいんだから、とにかくね!凄いんだよ!』
身振り手振り使って必死に伝える私をみてどう思ったのか、さっきまでとは違った柔らかい笑いが帰ってきた
笑ってくれた!そう思っていると、すっと暖かい傑の指が私の頬を撫でた
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作者名:猿集合 | 作成日時:2023年11月9日 21時