愛しいもの ページ50
2人でわいわいはしゃいでいる大人を静かに見守りながら、ベンチに座りに行った
どうせあそこに入っても、多分ロープの揺れ過ぎで酔うと思うし、今入っても止めることなんてできないだろうし
ゆっくりベンチに座りながらあくびを一つ落とした後、悟と直哉の声をBGMにして、首にかかったネックレスを触る
これは学生の頃悟が誕生日にとプレゼントしてくれた大切なものだ
肌身離さず持っていて、もらった時からずっと身につけている、お風呂とか寝る時は外すけど
あの頃が懐かしい
絶対見るからに高そうだから抵抗あって断っていた私に悟はうるさいと言葉を吐き無理矢理私の首につけては得意げに笑っていた
そんな彼をみてやっぱ無理と外そうとする私に彼は捨てるぞ!と言って
あんなに笑顔だった悟が少し怒ったような顔をしていたのを思い出して、くすりと笑った
首元で太陽の光を反射してキラキラ光るネックレスに、にやにやしながら懐かしさに浸っていると、ぬっと私に大きな影ができる
上を見上げればそこには、学生の面影をそのまま残して成長した悟がいた
サングラスから覗く、空をそのまま閉じ込めたような瞳と目が合えば彼のその綺麗な瞳が緩く細められる
悟『何ネックレス見てにやにやしてんの?』
『に、にやにやしてないし』
ぎゅっと軽くネックレスの宝石部分を優しく握る
悟『へぇ〜、まだつけてくれてたんだ』
『何よ』
悟『いいや、超嬉しいなって思っただけ』
『っ』
悟『じゃあ行こっか、直哉が待ってるし』
『あ、その…さっきの喧嘩ってどうなったの?』
悟『あー、あそこで伸びてるよ』
悟が指差すところにはぐでーんと伸びまくっている直哉がいた
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作者名:猿集合 | 作成日時:2023年11月9日 21時