君にとって ページ3
悟『任務放棄して何してんだよ』
頭上から聞こえてくる声に思わず笑いが溢れる
『そっちこそ、大任務でしょ』
悟『終わらせてきた』
『…そっか』
終わらせてきた、、ね
突っ伏していた頭を持ち上げて悟へと目線を合わせる
『悟ってさ、強いよね』
悟『?』
何が言いたいんだって顔をする悟に、にへらと笑ってみる
悟『キモい』
『酷い、私傷つく』
ずばっと言わなくてもいいだろうに
『…強くて、頼りになって、危険が迫ればすぐに駆けつけて助けてくれる』
そんな存在にもしなれたら…
『私、守れなかったんだ』
『何も出来なかった、助けることも、駆けつけることも、何も…』
『何も出来なかった』
悟『…別に、俺だって全員助けれてるわけじゃねぇよ』
悟『守れなかったことも、普通にザラにある。大事なのはそこからどう立ち直るかだろ』
悟『なんでずっと立ち止まってんだよ』
悟『呪術師やってんだ、それぐらい分かっててやってきてんだろ』
悟『それに泣き虫やめろって言ってるだろ』
軽く悟の手が私の頬に触れる
悟『メソメソしたって何か変わるわけでも、ましてや誰かが救われるわけじゃねぇんだから』
悟『さっささと行くぞ』
軽く握られた手首は、沈みきった私を引っ張り上げるようでどこか気持ちが楽になった気がした
『…どこに?』
悟『あ"?任務に決まってんだろ、俺もついていってやるから』
ぶっきらぼうにそう言って、私から顔を背ける
彼なりの慰め方、彼なりの優しさ
言葉こそは棘があるけど、ひとつひとつの言葉には優しさが感じられる
不器用なりの優しさ
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作者名:猿集合 | 作成日時:2023年11月9日 21時