虚無感 ページ2
『あーーーもう、悟はなんか反転術式使ってフル回転とか
めちゃ強になっちゃったじゃんか』
1人石垣の上に座りながら独り言を溢す
悟のこと誰も倒せないだろうなと言う感情と同時に、もう追いつける術がなくなったように感じた
遠くかけ離れてしまった存在に手を伸ばすのを渋ってしまうのも仕方ないだろうと思いながら
自分の揺らぎを隠すようにため息をついた
そしてその揺らぎに追い打ちをかけるように私にさらなる
不運を積み重ねてきた
それは、のんちゃんの"死"だった
チカチカと薄暗い場所を途切れ途切れにあかりを照らす照明を見つめる
片手に書類を持ちながら、ぼーっと1人椅子に腰掛けている
『全部嘘だよ』
ぽっと口から出た言葉は、逃げの言葉
『こんなの嘘に決まってる』
書類にはただ無機質な字と共に任務のことが記されている
『…』
ひんやりしてた、まるで人魚姫みたいに冷たくて静かで、とざれた瞼は硬く閉じていて、太陽みたいな笑顔の対比みたいで
どこかぽっかり空いたような気分だった、「虚無感」その言葉が今私の状態にピッタリとハマった感じがした
分かってた事なんだ、何回も言われ続けてた
呪術師にとって悔いのない死などない
分かりきってたんだ、いつか人は死ぬ、そんなことは分かっていた。
なのに何故だろう、分かっていて接してきたはずだ、分かっていて友達になったはずだ
分かっていたから、時間をかけたんだ
なのになんでここまで心が痛むのだろうか
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作者名:猿集合 | 作成日時:2023年11月9日 21時