運命とは抗うためにあるもの【呪術廻戦】

41頁【懐玉】 ページ47

その日の夜、夜も更け天内は観光の疲れからか精神的な疲れからか眠り込み、鈴虫の鳴き声が聞こえる静かな空間に一人月を見上げ座る男。


月明かりに照らされた白髪を揺らし、携帯を取り出すと、迷うことなく電話をかけた。


『…もしもし？』

五「……」

『え…？ちょっと？？まさか呪詛師にやられっ』

五「んな訳ねぇだろ」


『びっっくりした…。何も言わないから…。』

五「あーー。 ……そういや今日の昼間の電話。何で身代金の話を知ってたんだ？」


『……それね…。怒らないで聞いて欲しいんだけど…。私の家ってそんなにいい方では無かったでしょう？だから小さいときからそういう話は聞いてたの。』

五「…成る程な。それでか。」

『…余り誉められたものではないから硝子たちには言わないでね…。』


五「あぁ。」


『……ねぇ、五条君。無理…してるんじゃない？』


五「…してねぇよ。」

『そっか…。』

五「そろそろ切るわ。じゃあな」

『うん。無理しないでね。』

『(五条君様子が変だった…。声も疲れてたし…。ホントに大丈夫なのかな…。)』


携帯から流れる無機質な音にAの不安は一層煽られる。


五「(何であいつ俺が疲れてるって分かったんだ…？ってか俺もなんで電話なんかわざわざしてんだよ！明日任務終わりに聞けばいい話なのにっ！)」



様々な思いが交錯し、夜が更けていく＿＿＿




◇
護衛3日目＿＿都立呪術高専 筵山麓

15:00天内理子懸賞金取り下げから4時間

夏「皆お疲れ様。高専の結界内だ。」

高専の結界に入ったことで一安心する五条達の元へAが駆け寄ってきた。

『本当にお疲れ様。何もなくて良かった…。』


天「だっ誰じゃ！？」

Aは天内の方へ向き直す

『初めまして天内理子さん。私は和泉Aと申します。五条君達と同期です。』


Aの持つ柔らかな雰囲気、何より呪術関係者であるのに天内を星漿体と一度も呼ばなかったことが天内の警戒心を解いた。


五「あぁー疲れた。二度とごめんだ、ガキのお守りなんて。」


『お疲れ様』


『(ホントに疲れた顔してる…。滅多に任務でそんな顔しないのに…。)』

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