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薄暗くなってきていた外はもうすっかり日が落ち、暗闇に包まれていた。
『…これが私の聞いてほしかった話。ありがとう。最後まで聞いてくれて。ごめんね?こんな話して……』
そう言うAの声は少し震えていた。
まるで拒絶されることを覚悟しているかのような、細い声。
夏「どうして謝るんだ。……ありがとう、話してくれて。」
そう言いながら夏油は少し伏き気味なAにあわせ、膝をつき目を合わせる。
『術式の二つ持ちなんて気持ち悪くないの…?』
それに答えるように、隣に座る家入はそっとAの手を握る。
Aの瞳には安心からか涙の膜が張っていた。
五「……今日お前、俊とか言うやつに『認めて欲しい』とか言ってなかったか?」
『未だに…兄を尊敬する気持ち…は変わらない…の。彼がいなければ私は多分ここに居られなかったし…。それに兄もある意味で被害者…だと思ってる。だから、私は呪術師として強くなって呪術界を変えたいと思ってる。』
五条はAを試すように見る。
五「…ハッ呪術界を変えるなんて面白いこと言うじゃねえか」
『本気…だよ』
五「わかってるよ」
そう言うと、Aの髪をクシャリと撫でる 。
その顔には少年のように無邪気な笑顔が浮かび、その目からはAに対する敵意が消えていた。
そんな二人を見て夏油も嬉しそうに微笑む。
五「なら、先ずはその術式を使えるようにならなきゃいけねぇな。」
『その術式って、まさか神式紙操縦のこと?』
五「当たり前だろ。その術式使えればもうひとつの方を使いすぎずに済むだろ。」
『でも、さっきも話したけど使えないの…呪力がどうしても上手く巡らなくて…。』
Aは申し訳なさそうに眉を下げる。
夏「悟、何か策があるのか?」
五「策ってほど大したことじゃねえよ。術式が使えねぇのは体に完璧に馴染んでないからだ。埋め込む時にかなり強く拒否したせいだな。」
家「馴染んでないってことは結局、使えないってことじゃないのか?」
Aの顔から不安が消えない。
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み付 - 今日初めて読みました とてもいい話です!質問ですが続編のパスワードがわかりません。できれば教えてください (8月25日 23時) (レス) id: 6c0bcf64f8 (このIDを非表示/違反報告)
催花雨(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条さんオチにしようと思ってます!ありがとうございます!これからも読んでくださると幸いです!これからも宜しくお願いします。 (2021年5月5日 21時) (レス) id: d4f28ace1d (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年5月4日 0時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
催花雨(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!ヒロインちゃん頑張ってちょっとずつ心を開かせていくので、その過程も楽しんでいただけたら嬉しいです! (2021年1月7日 21時) (レス) id: d4f28ace1d (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - ヒロインが五条くんとどのように関わっていくのか楽しみです!更新頑張って下さい☆応援しています! (2021年1月7日 21時) (レス) id: eedcdb2f62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:催花雨 | 作成日時:2021年1月4日 1時