22頁(過去編) ページ24
『母様ッッッッ!!!』
その声にいつも反応するはずの手は動かない。
父「やっと終わったか……。」
俊也はAに近づき顔を掴む。
父「どうだ?体は」
Aは何が起こったのかわからない恐怖、何より母を目の前で喪ったというショックを飲み込むことが出来ていなかった。
何も考えることが出来ない。
何も感じることが出来ない。
……故に体の、無理やり底から変えられるような違和感に気づくことが出来なかった。
『…ハッァ……』
追い付かない感情にAの呼吸は早く、浅くなっていく。
何も言わないAにしびれを切らした俊也は不機嫌そうに雑にAの顔から手を離し、部屋から出ていく。
父「見張っておけ。変化があればすぐに知らせろ。」
父を見送ったあと、父の部下二人が母に手をかける。
『嫌ッッッッ母様……』
その声も届かない。
触れることも叶わず、連れていかれた。
『(母様がもういない……?そんなの嫌ッッ認めない…。私は何も知らない…何も見てない…)』
その時、Aの体に巡る違和感がいっとう大きくなった。
あまりのショックにショックに他にそれていた意識を強引に引き寄せる程。
自分の奥底で2つの力が拮抗している感覚。
否定したい力とそれを無理やりこじ開け自分の中に入ってこようとする力。
その2つの巨大な力が一番奥で渦巻く。
とても子供が耐えられる力では無かった。
『あぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!!』
眠っていた見張りも余りの絶叫に目が覚める。
すぐさま、その事は当主である俊也に伝えられた。
父「(埋め込みに成功したか)分かった。様子を見に行く。」
だが、俊也は一つ勘違いをしていた。
俊也は埋め込みの時に発生する痛みに絶叫したのだと考えていた。
だが、実際はAが目の前で起こった出来事が受け付けられず無意識のうちに術式を拒否していた。
本来ならば埋め込まれ、迎えるはずだった術式。
だが、Aが拒否したことで宙に浮いたような状態になっている。
言うなれば、巨大な爆弾が宙吊りになっている状態。
そんな状態でその術式が使えるはずもない。
その事を知らない俊也はAに命じる。
父「お前に埋め込んだのは神式紙操縦だ。扱い方はお前も書物で読んだことがあるだろう。使ってみよ。」
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み付 - 今日初めて読みました とてもいい話です!質問ですが続編のパスワードがわかりません。できれば教えてください (8月25日 23時) (レス) id: 6c0bcf64f8 (このIDを非表示/違反報告)
催花雨(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条さんオチにしようと思ってます!ありがとうございます!これからも読んでくださると幸いです!これからも宜しくお願いします。 (2021年5月5日 21時) (レス) id: d4f28ace1d (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年5月4日 0時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
催花雨(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!ヒロインちゃん頑張ってちょっとずつ心を開かせていくので、その過程も楽しんでいただけたら嬉しいです! (2021年1月7日 21時) (レス) id: d4f28ace1d (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - ヒロインが五条くんとどのように関わっていくのか楽しみです!更新頑張って下さい☆応援しています! (2021年1月7日 21時) (レス) id: eedcdb2f62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:催花雨 | 作成日時:2021年1月4日 1時