14頁 ページ16
Aは耐えるように瞳を閉じる。
暫く沈黙が続いた。
Aは瞼を上げ俊の顔を見つめる。その瞳には再び強い意志が宿っていた。
『お兄様。私は術師として強くなるために
ですから、先程の発言、撤回して下さい。』
震える声で、それでも強く自分の意思を初めて伝える。
それは、Aがここに来て得た成長だった。
だが、その成長を許す俊ではない。
Aの顎を強く掴みグッと引き上げ無理やり顔を近づける。
俊「和泉家に逆らうつもりか」
耳元で一段低い声で囁く。
Aは否定も肯定もせず、ただ強く俊の瞳を見つめる。
先程とは違う、ぶれない強い意思を宿して。
恐怖に染まらないAの瞳を見て段々と俊は苛つく。
と同時に俊は焦りを感じていた。
今まで押さえつけて道具として扱ってきた"お人形"が意思をもち"人間"となっていく感覚。
今の力関係が逆転するイメージ。
それがAの瞳を見ただけで分かった。
それらが焦りとなって俊の苛立ちをより加速させる。
今にもコップから溢れ出そうなほどの感情。
『私は、ただ術師として認めて欲しいだけなのです。』
そこに落とされたたった一滴の静かな感情。
たった一滴、だが溢れ出そうなコップに落とされた一滴は強い刺激となり、コップから水が溢れ出す。
俊はその激情のまま、手を振り上げる。
Aはこれから来るであろう痛みに耐えるように固く眼をつむり、体を強ばらせる。
だが、何時までたっても痛みは来なかった。
そっと開いた目にうつったのは揺れる白髪――――。
「手ぇ上げるのはやりすぎなんじゃねえの?」
『…五条君!?』
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
み付 - 今日初めて読みました とてもいい話です!質問ですが続編のパスワードがわかりません。できれば教えてください (8月25日 23時) (レス) id: 6c0bcf64f8 (このIDを非表示/違反報告)
催花雨(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条さんオチにしようと思ってます!ありがとうございます!これからも読んでくださると幸いです!これからも宜しくお願いします。 (2021年5月5日 21時) (レス) id: d4f28ace1d (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年5月4日 0時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
催花雨(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!ヒロインちゃん頑張ってちょっとずつ心を開かせていくので、その過程も楽しんでいただけたら嬉しいです! (2021年1月7日 21時) (レス) id: d4f28ace1d (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - ヒロインが五条くんとどのように関わっていくのか楽しみです!更新頑張って下さい☆応援しています! (2021年1月7日 21時) (レス) id: eedcdb2f62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:催花雨 | 作成日時:2021年1月4日 1時