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Aは耐えるように瞳を閉じる。


暫く沈黙が続いた。


Aは瞼を上げ俊の顔を見つめる。その瞳には再び強い意志が宿っていた。


『お兄様。私は術師として強くなるために高専(ここ)に来たのです。例え別の意図が働いて入学できたのだとしても。ここでどう過ごすか、何を求め、それを手に入れるために何をするのか。私の存在価値は私が決める。
ですから、先程の発言、撤回して下さい。』


震える声で、それでも強く自分の意思を初めて伝える。


それは、Aがここに来て得た成長だった。



だが、その成長を許す俊ではない。



Aの顎を強く掴みグッと引き上げ無理やり顔を近づける。


俊「和泉家に逆らうつもりか」


耳元で一段低い声で囁く。


Aは否定も肯定もせず、ただ強く俊の瞳を見つめる。



先程とは違う、ぶれない強い意思を宿して。



恐怖に染まらないAの瞳を見て段々と俊は苛つく。



と同時に俊は焦りを感じていた。



今まで押さえつけて道具として扱ってきた"お人形"が意思をもち"人間"となっていく感覚。


今の力関係が逆転するイメージ。



それがAの瞳を見ただけで分かった。


それらが焦りとなって俊の苛立ちをより加速させる。


今にもコップから溢れ出そうなほどの感情。



『私は、ただ術師として認めて欲しいだけなのです。』



そこに落とされたたった一滴の静かな感情。


たった一滴、だが溢れ出そうなコップに落とされた一滴は強い刺激となり、コップから水が溢れ出す。


俊はその激情のまま、手を振り上げる。


Aはこれから来るであろう痛みに耐えるように固く眼をつむり、体を強ばらせる。




だが、何時までたっても痛みは来なかった。






そっと開いた目にうつったのは揺れる白髪――――。




「手ぇ上げるのはやりすぎなんじゃねえの?」



『…五条君!?』

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 夏油傑   
作品ジャンル:アニメ
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み付 - 今日初めて読みました とてもいい話です!質問ですが続編のパスワードがわかりません。できれば教えてください (8月25日 23時) (レス) id: 6c0bcf64f8 (このIDを非表示/違反報告)
催花雨(プロフ) - プスメラウィッチさん» 五条さんオチにしようと思ってます!ありがとうございます!これからも読んでくださると幸いです!これからも宜しくお願いします。 (2021年5月5日 21時) (レス) id: d4f28ace1d (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年5月4日 0時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
催花雨(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!ヒロインちゃん頑張ってちょっとずつ心を開かせていくので、その過程も楽しんでいただけたら嬉しいです! (2021年1月7日 21時) (レス) id: d4f28ace1d (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - ヒロインが五条くんとどのように関わっていくのか楽しみです!更新頑張って下さい☆応援しています! (2021年1月7日 21時) (レス) id: eedcdb2f62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:催花雨 | 作成日時:2021年1月4日 1時

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