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ズサッ。

そんな小気味良い音を立てて 、 紫色の血を流す異形のナニカ。

次に見た時にはソレは消え 、 頭上には清々しい青空が広がった 。

やっぱ帳は上がる時が一番気持ちいい、なんてのんびりと考えていたら 、 ブルブルと振動するスマホに邪魔をされる 。

もう少し空気読んでも良いのにと小さく溜息を吐いて 、仕方なく電話に出た 。

『 もしもーし 、 さとるせんせー? 』

電話の相手は 、 見た目は最高 、 性格は最悪 、 呪術界では最強と謳われる彼だった 。

「 やっほー、元気ー? 」

能天気に先生は言う。元気な気持ちはどこかへ飛んでいきましたよ誰かさんのせいで。

……本当に人を苛立たせるのが得意な人だ。

『おかげ様で気分は最悪ですねぇ。誰かに邪魔されたのでー』

これくらい言ったって、バチは当たらないでしょう? あーあ、任務サボっちゃおうかな。

なんて、ごちゃごちゃと心の中で不満を並べていたら 、 五条先生に遮られた 。

「まあまあ、帰ってきたらプレゼントあるから!」

『は、プレゼント?』

思わず、可愛くもない声が口から飛び出した。

これ本当に私の声なのかって疑いたくなるくらいには汚い声。

「 そ、楽しみでしょ?だから早く帰ってきてねー 」

『 いや長期出張命じたの先生じゃん帰らせて?』

「 気にしなーい 頑張れー」

『 気にして 』

クックッ 、 と笑う先生の声がやけに響く 。

正確に命じたのは 、 上層部だけれど 。いくら五条家当主でも人の任務を調節するなんてこと、出来ないはず。出来る可能性はあるけれど。

それにしても、プレゼントなんて。

寒気がする。先生からのプレゼント、碌なものであるはずがない。

第一、どんなものであれひとにプレゼントを準備するなんてどんな風の吹き回しなんだか。

『 なんかあった? 』

「 まぁね 。 でもソレは帰ってきてからのお楽しみかな 」

何のための電話だ 、 なんて言葉はなんとか留めた 。

『 じゃ 、早く終わらせないとね 。
せんせ、帰ったらなんか奢って 』


「 今良い雰囲気だったのにほんとゲンキン。 僕からのプレゼント楽しみにしてて」

語尾にハートでも着きそうな勢い。気持ち悪い。

何その口調、と口を開こうとした時、ピコンとスマホが震える。 補助監督からの呪霊発見の通知だ 。

『 うげ 、 次の任務入った 。 またね 』

先生の返事も待たずに 、 ぶつりと通話を切る 。

せっかくだし少しくらい頑張るか、と駆け出した 。

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作者名:よる | 作成日時:2024年1月10日 16時

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