50 エピローグ ページ50
そこで小説は終わりを告げて、ページを捲っても、後書きしか書かれておらず、なんとも微妙な終わり方だった
主人公である天族という種族の細かい心情や情景が描かれていなかった。何で世界を壊そうとしたのかは分かる。それに同意する人が出るのも分かる
どうして、主人公を慕っていた生徒達が敵側に回ってしまったのか。主人公の視点では、分からない部分もあった
何と言っても、スッキリしない進み方で、終わり方だ。ハッピーエンドとバッドエンドは、表裏一体と言ったところだ
この小説の作者は誰だっただろう。そう思って、小説の背表紙を見る
「たまいぬ?あ、ぎょくけんって読むのか・・・」
最近は目立つ名前が増えているので、覚えやすいと言えば覚えやすい
この本に続きがあるのかどうかと、別の作品があるのかを調べてみたのだが、どれも無いようだ
「ねぇ」
そんな声と共に、急に机の上が陰り、本の文字が見えにくくなった。顔を上げると、自分の事を見下ろしている女の子がいた。逆光で顔はよく見えないけれど
他にも二人、机の周りにいて、こちらを見下ろしていた
「え、っと・・・」
「アンタが、転校生の天使 A?」
「え、あ、ああ、うん。そうだけど・・・」
そう答えると、三人は顔を見合わせた
「ちょっとツラ貸しなさいよ」
「・・・分かった」
断れるような雰囲気では無かったので、頷いて返した。席を立ち、女の子が歩いて行く後を追い掛けた
「なぁなぁ、さっき読んでたのって、玉犬って人が書いた小説だろ」
「知ってるんだ」
「まぁね!!天使せ、じゃなくて、天使と同じ名前だったよな」
「そうだね」
隣を歩いていた髪色の明るい男の子と話ながら、女の子の後ろをついて行く。もう一人の無表情な男の子は、何も話して来ないが、ずっと見詰められているのか視線が痛い
「天使、入って」
「あ、うん」
女の子がドアの前で立ち止まって、そう言ったので、ドアに手を掛けて中に入った。入った先には、何人かの人が立っていた
「あの、自分に何か?」
「覚えてない?この絵面」
一番背の高い男の人が問い掛けた。後ろにいた女の子と男の子二人が、向こうに加わって、同じように立った
少しばかり思い出そうとしたのだが、全く思い出せない
「じゃあ、何で呼び出されたと思う?」
「・・・集団リンチ?」
「ちっげぇわ!!」
違ったようで、怒られてしまう。身に覚えないので、首を傾げる。すると、男の人が溜め息を吐いた後に、こちら手を差し出した
「おかえり、A」
男の人は綺麗な笑みを浮かべて、そう言った
―
終わり?
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年1月2日 12時