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「ナナミンと声が似てる・・・」
「そう言えば、そうだね」
ザビーダの声と七海くんの声が似ている話で、虎杖くんと盛り上がったのだが、デゼルに怒られた
「で、どうするつもりだ」
「どうしようも無いって言うのが答えかな。分かってると思うけど、俺達には誓約がある」
「その誓約は、随分と前に破棄されたと思っていたが?」
「俺の寛大さに感謝してほしいところだよ、全く」
デゼルの皮肉じみた言葉に、皮肉じみた事で返したが、現状について、しっかりと見直さないといけない事は確かなようだ
今までの事も、かなり見逃して来たが、これ以上何かをされれば、こちら側の堪忍袋の緒が切れそうだ
「先生、大丈夫なんですか・・・?」
「大丈夫だよ、順平くん。君は俺が守るから」
俺に向けられた殺意と言う事は、順平くんにも被害が及ぶ可能性がある。それは何としてでも避けたい。そして、俺達の事に巻き込まれて、虎杖くんが不利な状況になる事も避けたい
「取り敢えず、今は現状維持。何かあれば、すぐに報告しろ」
「分かった」
「へいへい」
二人は中に戻り、息を吐く
「先生って、偉い人だったりする?」
「そうでもないけど、考える事は多いよ」
「あの、僕に手伝える事は・・・」
「あと五百年ぐらい生きたらね。今日の授業はここまで。お疲れ様」
授業を終わらせて、教室を出た。廊下を考え事をしながら歩いているのだが、後ろに気配を感じる。分かりやすい気配だ
「何か用かな、七海くん」
足を止めて、振り返った先にいる七海くんに訊いた
「少し嫌な予感がして、見に来ただけです」
「また七海くんが、死ぬみたいな?この界隈じゃ、日常じゃない」
「それもそうですが、それよりも、もっと嫌な感じがするんです。死よりも怖い、何か」
「死よりも怖いものなんて、沢山あるじゃないの。友達が死んだり、家族が死んだり、ね」
人はちょっとした事でも一喜一憂する。それは俺達も変わらないが、長生きしている分、それなりの耐性はあるものの、親しい人が亡くなるのは、寂しいものがある
「俺は別に皆を置いて、死んだりしないよ」
「・・・そうだと良いんですが」
「少しは先輩を信じてよ」
「貴方を信じているから、心配なんです」
七海くんは、難しい事を言うが、分からない訳ではない。信じているからと言って、その日とが死なない確証にはなり得ない
「・・・私は存外、貴方の事が好きなようです」
「うわぁお。七海くんに言われると照れるね」
「真面目に聞いてください」
本当の事なのに、七海くんに怒られた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年1月2日 12時