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「恵?」
ゴミ袋を奪ったのは、恵だった
「・・・後は俺がやります」
「唐突。順平くんも手伝ってくれるの?」
恵と同じように、傍に来ていた順平くんに訊く
「は、はい。良ければ」
「ありがとう。俺と虎杖くんは、釘崎さんの所にいるね」
虎杖くんの手を引いて、釘崎さんのもとに向かった
「先生って、掃除苦手な人?」
「俺は掃除が好きな訳でも無いからねぇ」
どちらかと言えば、掃除は苦手な方だ。そもそも長らく俺達の仕事では無かったので、好きと言う概念が生まれる可能性は低い
「と言うか、なんて俺まで?」
「ちょっと宿儺くんと話したかったから」
「宿儺と?」
「そうそう。あと釘崎さんの話も聞きたい。あの件での虎杖くんが、どうだったとかね」
あの事件では、虎杖くんでは無くて、宿儺くんの話が盛り上がっていたのだが、こちらとしては虎杖くんの話を聞きたかった
「コイツは、まぁ良くやった方よ。東堂がいなかったら、どうなってたかは分からないけど」
「俺は、ただの人殺しになりたく無かっただけだ。五条先生を助けて、そっからの事は考えてなかった。ただ死にたいって思ってた」
子どもがこんな事を思って良いのだろうか。虎杖くんは高専の一年生であり、まだまだ子どもである
虎杖 悠仁という存在は、善人というカテゴリに入る。宿儺の器がなんだと言うのだ。半分以上指を呑み込んだ虎杖くんは、今も普通に話をしている
「ま、何はともあれ、良く頑張ったね、虎杖くん。お疲れ様」
「せ、んせ・・・」
頑張って生きてくれた虎杖くんの事を抱き締めて、頭を撫でる。彼も俺の腰の辺りに手を回して、頭を押し付けた
「うっざ」
「残念だったね、クソガキの宿儺くん」
宿儺くんの行為も、一応は無効化する事が出来るので、今のところは大丈夫だと言える
「ふん。貴様のような人外、相手にせん方が身の為というものか」
「そう言う事。でもね、宿儺くんにも良い話があるから、そのつもりでね」
「は?」
「俺が死んだらの話だけどね」
「いつになるんだそれは」
「五千年後ぐらい?」
虎杖くんの頬から出て来ている宿儺くんと話をしていたのだが、胸元を押されて、虎杖くんに少しだけ距離を取られた
「どうしたの?虎杖くん」
「・・・耳元で喋んないで、くすぐったい」
「ありゃ、それはごめんね」
離れた虎杖くんは耳を触っていて、本当にくすぐったかったらしい
「モテモテね」
「そう?俺はやめた方が良いとは思うけどね。釘崎さんは、俺の事嫌い?」
「普通。でも、感謝はしてる」
そう答えた釘崎さんも、言い方はアレだが良い子だ
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年1月2日 12時