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｢無為転変｣
手の平から感じるツギハギくんの術式。当たり前の事だが、俺の体に変化は無かった
｢は、何で･･･｣
｢残念だったな。俺の魂に触れるだと？呪霊ごときが、神にでもなったつもりか？小僧｣
俺の事を見上げるツギハギを見下ろして言う
｢･･･何、だって？｣
｢呪霊ごときが、俺の魂に触れられるものか。とっとと失せろ。浄化するぞ｣
体に触れているツギハギの手首を掴み、力を込めれば、俺の手の平が熱を持つ。それに驚いたツギハギは、俺の手を振り払い、距離を取った
｢お前、何者？｣
｢詳しくは答えないけど、負の感情が具現化したものみたいなのには、結構な耐性があってね。悪いけど、負けないよ｣
ツギハギくんを捕まえようとしたが、一歩及ばず、取り逃がしてしまった
｢せんせー!!｣
｢ん？ああ、お金足りたー？｣
大きな声で俺を呼びながら走り寄って来る虎杖くんに訊く
｢そ、そんな事より、今のって･･･!!｣
｢ツギハギくんだね。追い返したから平気。今から追い掛けても無駄。人が多すぎて、ここで戦闘にならなかっただけマシ。分かった？｣
｢分かってる、けど･･･｣
｢はいはい。気暗いのはやめて、今日はサイモンをよろしくね。可愛くしてあげて。いつも可愛いけど｣
そう言うとサイモンに脇腹を殴られる
｢釘崎さんもよろしく｣
｢任せとけ、とびっきり可愛くしてやるよ｣
｢おお、心強い。サイモン、釘崎さん達に意地悪しないようにね｣
｢知った事か｣
柔らかめの針を刺して来るサイモンは、俺から視線を逸らして返事をする
｢デートは無しかなぁ｣
｢女、さっさと行くぞ｣
｢え、ちょ、ちょっと!!?｣
｢え、釘崎!!?引っ張らないで!!?｣
サイモンは釘崎さんを、釘崎さんは虎杖くんを引っ張って行く。そんな虎杖くんは、吉野くんを引っ張って行き、わらわらと仲良くどこかに行ってしまった
｢恵は行かないの？吉野くんには、恵を引っ張るのハードルが高いんだから、行ってあげなさいよ｣
｢俺は天使先生と一緒にいたいので｣
｢そう。じゃあ、皆が戻るまで、本屋でも行こうか｣
｢はい｣
残ってしまった恵と一緒に、近場の本屋に行く事にした。行ったのだが、恵はどういう訳か、俺の隣から離れない。好きな所を見ておいで、と言ったのだが、特に聞き入れてもらえなかった
｢恵の好きな本、見て来て良いよ？｣
｢天使先生は、どんな本を読むんですか？｣
俺の言葉を無視して、隣に立っている彼は訊いて来る
｢俺？俺はね、こういう本をよく読むよ｣
答えないという選択肢は無いので、見ていた本を手に取り、恵に見せた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年1月2日 12時
